杭工事の国土交通省告示と工事監理者に対する工事監理ガイドラインが出来る

遅ればせながら・・・という感じですが、建築物の基礎の下に設けられる杭に対する、法的な規制が生まれようとしています。

国土交通省では、2016年1月29日と2月1日に、建設業法の規定によって建設業者が杭工事の際に守るべきことと、建築士事務所が行う工事監理において、杭工事に関して留意すべきことを、それぞれ「告示」と「ガイドライン」としてまとめる為、案を公表してそれに対してパブリックコメントを求めることを発表しました。

ここで「案」の内容をご紹介したいと思います。

まず国土交通省告示から。

告示案は
施工体制に係る一般的な事項
くいの支持層への到達に係る一般的な事項
施工記録に係る一般的な事項

の3つの区分があるのですが、その最初の「施工体制に係る一般的な事項」の中に次のような文言があります。

元請建設業者の下請負人は、基礎ぐい工事の施工前又は施工中に、設計図書等に基づく施工が困難であること、設計図書等に示された地盤条件と現場条件とが異なること等を発見したときは、書面をもってその旨を元請建設業者に通知すること。元請建設業者は、下請負人から通知がなされた場合には、遅滞なく協議を行い対応策を定めること。

一方、工事監理ガイドラインには次のような文言があります。

基礎ぐい工事は、目に見えない地盤を対象に行うものであり、支持層の確認にあたって掘削機の音及び振動、地中から受ける抵抗(電流値、積分電流値等)や土質も含めた総合的な判断を特に要する難度の高い工事であるため、工事監理者は、工事監理にあたって慎重を期し、工事が設計図書どおりに適正に施工されることを確認するものとする。

どちらも、このような明文化された規定が無かったが為に、今回の杭打設時のデータ改竄や、支持層に未到達の杭があったまま工事が進んでしまったわけですが、逆に言うと、これまではこのようなことがどこにも明文化されずにいたということ、そして、仮に地盤強度が設計上の設定値を下回っていたとしても、誰も何の対処をしようともせずに、あたり前に工事が進み、検査を受けて完了したいたということは、何か恐ろしいことのように感じるのは私だけでしょうか。