アルミニウムの住宅 住み心地は

強度的にはスチールより弱いアルミニウムを構造体に使用した住宅があります。

参照⇒ 高い熱伝導率を空調に活用、アルミ造住宅

軽量で繊細な構造体が生みだす空間は、住まいというよりはオフィスではないかと錯覚させるものがあります。

リングと呼ぶ構造体が3つあり、これがコアの役割をしています。
地震時の水平力は軸組み部分と、コアが負担することになります。

リングはそのまま室内に表われますので、ヒートブリッジの影響がすごく気になりますがどんな工夫をしているのでしょう。

設計期間が1年半に及んでいることが、解決しなければならない課題の多さを想像させますが、非常に意欲的な試みだと思います。

設計を行ったアトリエ・天工人(テクト)のサイトを見てみると、以前からアルミニウムの活用に取り組んでいたようです。

「プロフィール」の中にこんな言葉がありました。

ものづくりに必要とされるのは、対等な関係のなかでの協力体制である。
住宅を例にとってみても、クライアントから職人まで、携わる人全ての力を合わせなければ、満足しうるものは完成しない。

まったくその通りで、すごく気になる建築家の一人ですね。

新耐震の住宅は震度7でも大丈夫なんですか?

先日のことですが、『昭和56年以降の住宅なら震度7の地震がきても大丈夫なんですか?』という質問がありました。

はっきり言って答えられませんでした。
答えられない理由は次のようなものです。


新耐震基準による耐震設計は『数百年の一度の確率で発生する地震波』を基準に行われています。
では、数百年の一度の確率で・・・を震度階級にあてはめると 震度6弱 程度に該当すると言われています。

震度階級とは気象庁が定めているものですが
震度7とは震度計による計測震度が 6.5以上
震度6強は 6.0以上6.5未満
震度6弱は 5.5以上6.0未満
震度5強は 5.0以上5.5未満
震度5弱は 4.5以上5.0未満

以上のような要領で震度階級が定められています。

耐震設計は震度6弱が基準になっているのであれば、震度7なら倒壊するのか?
という疑問が出てきます。

ところが、気象庁の震度階級と建築基準法では連動性がなく、倒壊するとも言えませんし、大丈夫とも言えない・・・なんともあいまいな答えしか出来ないのが現状なんです。

昨年、実物大実験を行った防災科学技術研究所の結果では、耐震基準の1.4倍ほどの地震波を想定して設計された3階建ての木造住宅が倒壊しました。

この時には2つの建物を同時に実験したのですが、接合金物の強度を弱めた、むしろ強度的には弱い建物が倒壊せずに済みました。

こんな結果から、まだまだ耐震設計については研究課題があるのですが、少なくても、新耐震基準前の建物よりは新耐震基準で設計された建物の方が丈夫でしょう!

という分かったような分からないような答えになってしまうのです。

住宅新築の予算を考える

住宅を新築する場合に、最重要な検討テーマとしてあるのが工事予算です。

住宅新築に係る費用は、工事費以外に融資や登記関係の諸経費、工事には含まれていない家具などの購入費用、そして引っ越し費用などがあります。

建主さんの頭の中には、これらのもろもろかかるだろう費用がありますので、工事費にはいくらまで というおおよその予算を立てるものです。

ところがこのおおよその予算が大きくくるってしまい、計画が進まなくなってしまうことがあります。

予算がくるってしまう原因には

  • 予算に比較して要望が高すぎる
  • 予算を無視した設計が行われる

と、二通りあるのですが、一方は建主さんに原因があり、もう一方は設計者に原因があるわけです。

ここでは、予算がくるってしまうことの背景などを考えながら、予算どおりにまとまるヒントなどをお話します。


建主さんの傾向としては、本当の予算を言いたがらない!
というのがあります。

気持はわかります・・・つまり、本当の予算を言ってしまってから、更に追加の要望が出た場合に予算が足りなくなってしまします。
そんなことを考えて、予算は少なめに言う!

こんなことなのですが、設計者の立場から言いますと、あとから予算が増えるた時に『最初から言ってくれるといいのに』と思ったりします。

設計の初期の段階では、予算に合うようにおおまかなアウトラインを設定します。
そして、住宅の規模とか仕上・設備の仕様をある程度決めながらプランニングしていきます。

設計の目的は、建主さんの要望と予算のバランスをうまくとることですが、提示された予算は『絶対なもの』という前提で進めていきます。
ところが結果的に予算がオーバーしてしまい、どこを削るかを検討した結果・・・建主さんから『予算を増やします』と言われると、結果はオーライなのですが、やはり無駄な時間と労力を使うことにもなります。

できれば、本当の予算を最初から言ってほしいというのが設計者の本音です。

建主さんの本当の予算とは、単独で工事予算があるわけではなく、諸費用やその他の費用との関連で決まりますので、引っ越し費用も含めた総体予算を初めから設計者と打ち合わせをし、共通の認識を持っておくことが大切です。


設計者の中には、予算をあまり考えずに自分の作りたいものを設計するという人もいます。
『予算はどうせ合わないのだから、最終的に調整すればよい』などと考える人です。
調整の方法にもいろいろあって、設計内容を変えずに、工事を行う工務店に無理やり予算を合わせさせる・・・こんな乱暴な方法です。

この調整がうまくいかなくなると、建主さんに予算アップや設計内容の変更を要求してきます。
困ってしまうのは建主さんなのですが、提出された見積書と格闘するのは設計者の仕事です。

建主さんの要望以外に、設計者の要望によって予算が膨らんでいないかどうか、最近はやりの 仕分け をやってみるのも方法です。

この点、ハウスメーカーは予算どおりに納まりやすい積算システムにもとづいて設計を行うやり方をとっていますので、予算のことであまり悩まずにすむのはハウスメーカーです。

天然素材の使い方

磯崎新というと、建築界では大変有名な建築家です。

静岡駅前に建つ県の複合施設「グランシップ」は、磯崎さんの設計で1998年に完成しました。
その「グランシップ」で、外装材に使われた天然のスレート板の落下事故がここ5年間続いているそうです。

原因はわかっておらず、施工不良などもみつかっていないということです。
推測では、素材である粘板岩に含まれる何らかの鉱物が温度変化によって膨張収縮を繰り返していることではないかと見られているようですが、これは材料選定に問題があったというわけではなく、自然素材というものには必ずこのようなことがあるということです。

住宅にも最近は自然素材が多く使われるようになりましたが、素材の乾燥収縮や熱による膨張などにより、ひび割れや床鳴りといった現象がよく表れます。

それらが時々クレームとして施工会社に寄せられますが、対応に困ってしまうのが現実です。

自然素材を使う場合には、こんなことを頭の隅に入れておいていただけるとあり難いことです。

危険な住宅が増えているという事情

量産される「危ない間取り」という記事が以前のケンプラッツに掲載されていました。

一般の方には分からないと思いますが、建築のプロからみると由々しき事態です。

簡単に言うと、2階の柱の下には1階の柱がないとか、2階の耐力壁のラインと1階の耐力壁のラインがずれているプランを乗りの悪いプランと言うのですが、そんなプランが増えているということです。

記事にもありますが、乗りの悪いプランは地震時の強度や、2階梁の強度に大きな影響を与えるものです。
できるだけ1階と2階の構造区画を一致させながら間取りを考えようとはするのですが、容積率がギリギリであるとか、予算が少なく最小限の面積でプランを成立させなければならない時などは、得てして乗りの悪いプランが生まれます。

そのような事情ばかりかどうか分かりませんが、そんなプランがたくさん作られているということです。

このようなプランは、ハウスメーカーの内部にもいる、素人に近い設計担当者はよく作ります。
技術レベルが低くなっているのか、それ以外の要因でこうなっているのか、はっきりしたことは分かりませんが、相手がプロだと思っていると、とんでもない住宅を作られることになりますから、100%信用してはいけないということです。

請負契約と売買契約との違い

住宅を取得する場合には必ず契約が為されますが、契約の種類によってまったく契約の内容が異なります。

注文住宅を建てる場合には請負契約、そして、建売住宅を購入する場合には売買契約になります。
建築条件付きの土地を購入して住宅を建てる場合には、土地は売買契約、住宅は請負契約となります。

この二つの契約方式は、準拠する法律が違うのです。

  • 請負契約は建設業法と民法
  • 売買契約は宅地建物取引業法と民法

こんな具合です。

建設業法では、請負工事金額によって工事を請負できる業者に許可基準を設けています。
具体的には1,500万円以上の工事は許可が必要ですが、1,500万円未満の工事は許可業者でなくとも請負が出来ます。

許可業者となるには、専任の主任技術者がいて、財産的な基盤があることと定められていますが、実際には簡単に許可をとることができる基準となっています。

一方、宅地建物取引業法が定めている宅建業者の免許基準は、建設業者よりは厳しいものとなっています。
それは、供託金が必要となっていることです。

さて、二つの契約方式の違いについて比較すると

請負契約 売買契約
契約金などの制限 ない ある
契約解除 出来ない 出来る
瑕疵担保責任 ある ある

請負契約の方が契約金の制限は無く、契約解除も出来ない、売買契約よりは業者に有利な契約内容となっています。

このことが、最近のハウスメーカーの倒産による、被害者の増大に結びついています。
つまり、多額の契約金や中間金を支払いながら、工事は着工もされていないという原因になっています。

今後は、請負契約の内容についても、いろいろと規制をかける方がいいのではないかと思っています。