リノベーションとも言われることの多い“まるごとリフォーム工事”ですが、意外と歴史は浅く、まだまだ未成熟な分野です。
業者選択の間違いが大きな失敗につながってしまうので、慎重に見極めできるポイントを紹介します。
リフォーム業者を選ぶときのポイントを紹介
- 耐震改修工事は必須の工事内容
- 設備配管の交換を忘れずに
- 追加工事が発生した場合の対応を確認する
- 工事費以外にかかる諸費用などをチェックしておく
- 利用できる補助金の提案力を確かめる
- 工事後の予想耐用年数を答えられるか
以上のポイントについて解説します。
最後に“新築そっくりさん”についての裏話も紹介してます。
耐震改修工事は必須の工事内容
まるごとリフォームで必ず必要な工事項目とも言えるのが耐震改修工事です。
建築基準法の耐震基準は平成12年に見直しがされており、見直し以降の住宅とそれ以前の住宅とでは、耐震性能に関して大きな違いがあります。
- 地盤調査が義務化され地盤の強度に適合する基礎の設計が行われるようになった
- ホールダウン金物の使用や構造部材の接合仕様が明確になった
- 耐力壁の壁量計算に耐力壁の配置バランスの計算が加わった
昭和56年6月以降の新耐震基準で建てられた住宅であっても、現在の基準に基づいて耐震診断を行うと、ほとんどの住宅が「不適合」と診断されることが分かっています。
- 耐震補強工事の平均施工金額:145万円
- 耐震補強工事の平均施工中央値:125万円
これも参考になるデータです。
出典:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合
まるごとリフォームを予定している住宅のほとんどは平成12年以前の物件と考えられるので、耐震改修工事は必須の項目です。
リフォーム計画の中に耐震改修工事が含まれていることを確認して下さい。
設備配管の交換を忘れずに
リフォームの中で最も関心が持たれるのが、キッチンやバスルーム等の住宅設備ですが、設備機器に接続されている給水給湯排水といった配管類には耐用年数があります。
設備機器は
- 運転しなくなった
- リモコンスイッチに時々エラー表示される
- 表面の劣化やカビ、錆が目立つ
などの交換時期が分かるものですが、配管類は“漏水”といった現象が無い限り、隠蔽配管などは交換時期を判断することは案外難しいものです。
新築後25~30年経過した住宅のリフォームでは、このような見えない配管の交換が必要になる場合があります。
まるごとリフォームでは設備機器の交換ばかりでなく、壁・天井の解体を含む工事になることがほとんどなので、配管の交換も工事範囲に含まれます。
見積り項目に配管交換工事が含まれていることを確認して下さい。
追加工事が発生した場合の対応を確認する
リフォーム工事が終了する頃にトラブルとなることが多いのが追加工事です。
追加工事とは、契約時の見積書には記載されていない工事であり、着工してから必要になって行われる工事です。
追加工事には種類があり
- 施主の希望で追加になった工事
- 工事を進めていく中で必要になった工事
- 当初の見積り時に見落としていた工事
このような種類があります。
施主が希望した工事については、追加工事費の支払いでトラブルになることが少ないですが、やむを得ず必要になった工事や見落としていた工事
はトラブルの大きな原因です。
まるごとリフォームを行うリフォーム業者の商品には、「新築そっくりさん」のように施主の希望で生まれる工事以外は、追加工事の費用を請求しないシステムになっている会社もあります。
追加工事が発生した場合の対応を確認しておきましょう。
工事費以外にかかる諸費用などをチェックしておく
まるごとリフォームでは“住みながらの工事”はできません。
有名な“新築そっくりさん”は「住みながら工事ができます」と謳ってはいますが、実際には仮住まいをしてもらっているのが実態です。
仮住まいする為の費用は
- 引っ越し代
- 仮住まい物件の敷金や礼金
- 期間中の家賃
この他、移転を知らせる為の通信費、電気代や水道料などの基本料金がダブルでかかったり、仮住まいの場所によっては通勤・通学定期券が使えないこともあります。
さらに増築を含む工事では増築登記費用が、リフォームローンを借入する場合の保証料や銀行手数料も大きな金額になることもあります。
工事費以外にかかる費用も事前にチェックしておきましょう。
利用できる補助金の提案力を確かめる
地方公共団体では、耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化、環境対策、防災対策、同居対応など様々な分野での補助金制度を実施しています。
リフォーム業者から見積り提出してもらうばかりでなく、このような補助金の提案もしてもらいましょう。
活用できる補助金制度や支援制度がたくさんあります。単に工事を請負うだけではなく、施主に対する提案力もリフォーム業者として、選択判断の重要なポイントにもなります。
補助金が活用できると資金計画にも余裕が生まれ、住設機器や使用資材のグレードアップや、工事範囲を広げてより満足度の高いリフォーム計画が可能になります。
補助金についてはこちらの記事も参考に
工事後の予想耐用年数を答えられるか
まるごとリフォームは、これまで隠れていた構造躯体の状態を確認できるメリットがあります。
劣化が進んでいる構造部材は交換や補強が可能になり、全体的な耐久性能を高めることができます。
リフォームすることにより、あと10年ぐらいと考えられた耐用年数がさらに20年延びることもあります。
リフォーム業者には、「何年寿命がのびるか」を是非質問したいものです。
正確な答えは望めないと思いますが、業者なりに工事内容については評価しているはずです。
自信のある業者ならば「今後のメンテナンスが必要ですが・・・」という但し書き付きで、耐用年数の目安ぐらいは言えると思います。
新築そっくりさんってどうだろう
“新築そっくりさん”はまるごとリフォームの老舗みたいブランドです。
リフォーム業者の絞り込みには、必ず名前が挙がっていることかと思いますが、判断材料の参考にして下さい。
新築の半分にはならない理由
まるごとリフォームやリノベーション住宅は、新築同様・・・・・という言葉だけがひとり歩きしています。
見かけのリニューアルだけではなく、骨組みの耐震性や耐久性を考えて工事内容や会社を選んでください。
新築の半分の金額で・・・・・こんなキャッチフレーズも目に付きます。
実際には、新築住宅の7割ぐらいで納まれば御の字です。中には9割近い金額になることもあります。
リフォーム工事は、どんどん範囲が広がっていくものです。ついでにここもリフォームしちゃおう!と、必ずこうなります。
また、築年数が古いほど、例えば配管や配線、オール電化に対応できない電気の幹線だとか、断熱・気密といった性能が劣っている住宅もあります。
どうせ工事を行うのなら、あれもこれもと増えていくものです。
新築の半分で・・・を真に受けているとあとから予算がオーバーということもあります。お気をつけて・・・・・!
新築そっくりさんの見積書
建替え費用の半分で新築同様に生まれ変わるという新築そっくりさんですが、その価格の秘密をお伝えします。
新築そっくりさんでリフォーム工事の見積もりをしてもらうと、なんと見積書はA3の紙一枚なんです。
普通、建築工事の見積書は
-
- 見積書の鑑(表紙)
- 工種別集計表
- 工事内訳明細書
こんな感じで数ページ~数十ページになるのが普通ですが、新築そっくりさんには工事内訳書はありません。
しかも、標準工事には
-
- キッチンの交換
- ユニットバスの交換
- 洗面化粧台の交換
- 便器の交換
こんなのがあらかじめ組み込まれている為、これらの項目もありません。
すごくあっさりしているので、逆に分かりやすい見積書なのかもしれません。
では、どうしてこのような見積書になっているかというと、実はここに新築そっくりさんの秘密があるわけです。
浴室の解体をすると土台が腐っていた!・・・こんなことはリフォーム工事ではよくあることです。
普通行われている詳細な見積を行い、見積書に記載のないものは別途工事です、なんてなっていると、このように予定していないことがあると、そのたびに追加工事になってしまいます。
当初契約した金額から100万円も200万円も増えてしまっては大変です。
そこで新築そっくりさんでは、このようなことのないように、標準工事の内容を徹底的に研究し、解体してみて初めて分かるようなこともあらかじめ工事の内容に組み込み、あとで追加工事が発生しない仕組みを作っているのです。
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