倒産パターンによって変わる対処方法

突然工事中の住宅会社が倒産した。建て主さんとしては驚天動地のできごとです。どうしたらよいのでしょう?まず、倒産のパターンを把握してそのうえで最善の方法を見つけ出さねばなりません。

倒産パターンと住宅工事の継続手段

前頁の表をもう一度掲載しておきます。

住宅会社の規模 考えられる倒産パターン
超大手ハウスメーカー 会社更生法による再建手続き
民事再生法による再建手続き
大手ハウスメーカー 民事再生法による再建手続き
地域のメーカーやビルダー 民事再生法による再建手続き
破産法にもとづく会社整理
中小工務店 民事再生法による再建手続き
破産法にもとづく会社整理
任意整理による会社再建
零細工務店 破産法にもとづく会社整理
任意整理による会社再建
手続きをしない自然廃業
夜逃げや行方不明による事業停止

倒産パターン別の対処方法としては、法的な手続きによる場合と、法的手続きにはよらない場合に大きく分けて考えることが出来ます。

法的手続きによる会社再建や破産処理の場合

法的手続きによる場合は、基本的には裁判所や弁護士からの連絡や指示にしたがった行動を求められます。
大手ハウスメーカーが倒産した場合には、大手ハウスメーカーは資産規模が大きく、再建に向けての財産的基盤はありますので、再建の方向で手続きは進んでいきます。

また、債権者の動揺もあまり大きなものとはならないと考えられ、工事中の現場での混乱も少なく、建主さんとして心配しなくてはならないのは、資金計画です。

契約金や中間金などで、すでに支払っている金額がありますが、工事の進み具合から見ると過払いになっている場合があります。
会社が再建され、工事が続行する場合であっても、過払いとなっている金額については、すべて工事費用に充当するわけではありません。その為、追加で工事費用を請求されることが多く、建主さんは資金計画の見直しをしなければなりません。


破産の場合には、手続きが進んでいくと請負契約の解除と、他の会社との新しい請負契約の締結をすることになります。
新たな会社は、弁護士が斡旋してくれることもありますが、基本的には建主さんが業者選択をしなければなりません。

せっかく時間をかけて選択した会社が倒産してしまい、また、新たな会社を選択することは、大変な不安や心配があります。
また先ほども書いたように、追加で資金の用意をしなければならいことになると、そちらの方も大きな悩みとなります。

倒産した時点での現場の進み具合によって、金額的な計算を行い清算をします。
これは、民事再生でも破産でも必ず行なわれます。
出来高に比べて多く支払っている場合には、その金額は民事再生の場合には再生債権、破産の場合には財団債権と呼ばれます。
出来高に比べて支払い額が少ない場合には、差額について請求がなされますが、工事が続行する場合には、その分も含めて支払い予定を立てることになります。破産のため契約解除となる場合には、請求分について支払うことによって、出来高分の引渡しを受けて、他の会社に残る工事を引き継いでもらいます。

瑕疵補償や性能保証登録はどうなるか?

10年保証を第三者保証で行なっている場合、住宅会社が倒産すると、引き継いだ新しい会社に登録された保証が継続されるかどうかの確認が必要です。
21年10月から適用される住宅瑕疵担保責任保険でも、同様にこのことは確認の必要があります。

何故なら、第三者10年保証や住宅瑕疵担保責任保険は、保険会社によって設計・工事基準があり、その基準に合致した中間検査があります。
保険が継承されるには、基準や検査の結果などについての条件が満たされていないと難しい面があると思います。

また民事再生による会社再建であっても、工事が続行された時に、法人が別になっていることもありますので、やはり保険会社に充分確認して下さい。

民事再生の中には、スポンサー企業への事業譲渡によって、倒産した会社そのものが無くなることもあります。

法的手続きによらない場合

法的な手続きをとらない場合については、裁判所の関わりはありませんので、どちらかというとシンプルな流れになります。
しかし、夜逃げや行方不明のように、やっかいなこともありますが、建主さんが自ら対処する立場になりますので、主導権を持って進められるますから、工事の再開には時間があまりかかりません。


AさんはB工務店に住宅を建ててもらっていました。
ある日現場に行くと、1週間前と現場が同じ状態です。まったく進んでいません。
おかしいと思いB工務店に電話をすると『実は・・・・・・・』
経営破たんとなり、工事が続行できないといいます。

幸いにも、工事代金の支払いは出来高払いとなっており、これまで支払った分以上に工事は進んでいます。
そこで、工事に関わっているすべての業者の連絡先を聞きます。そして、日時を決めて集まってもらいます。いわゆる債権者集会というものですが、議題となるのは、Aさんの住宅の工事に関してであり、他の債権についてはまったく関係がありません。

残っている工事の費用をそれぞれ確認し、Aさんの予算と照合します。そして、各業者に対する支払い金額を確認し、続行して工事を行っていく意思確認をします。

中には、工事の続行は出来ないという業者がいるかもしれません。それは仕方の無い事です。
さて、問題はB工務店に代わって工事を取り仕切ってやってくれる工務店をみつけなければなりません。

工務店が見つかったら、再度、すべての業者に集まってもらい、新たな工務店の指示のもとに工事を再開する意思があるかないかを確認します。
うちは降りますという業者とは、精算金を確認して支払い時期を約束します。

新たな工務店のもと、話がまとまったら工事は再開です。


工事途中で住宅会社が倒産した場合の対処方法の基本は、この通りなのです。
対処の主導権を建主さんではなく、裁判所の決定にもとづいて弁護士が行なうのが法的手続きです。
いずれの場合も、建主さんとして最低限やっておかねばならないことは現場の保全です。

法的処理の場合には、裁判所によって保全命令が出されますので、倒産した会社の財産・資産については、利害関係者が勝手に物品や商品を持ち出すことは禁じられます。これは現場に納入された材料・部品なども同じです。
ところが、債権者の中には乱暴な人もいたりして、現場に入り込んで材料・部品などを持ち出すということもあります。

その為、一定期間現場の立ち入りを禁止する措置を取る必要があります。
住宅会社によって、立ち入り禁止の措置をとってくれるといいのですが、ほったらかしの現場もあります。
法的処理を行なわない場合には、なおさらこういったことは起こる可能性があります。
建主さんとしては、現場への立ち入りを禁止するよう対策をとらないといけません。
具体的には、入り口の施錠や鍵の回収、簡単なバリケードによって『立入禁止』を明示する・・・などのことです。

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