区域・地域によって必要な防火基準
- 建築基準法第22条区域に建つ建物に必要な防火性能
- 建築基準法第22条区域とは、市町村の中で家屋や商店などが密集した市街地の中で、防火地域・準防火地域以外の区域をいいます。つまり農村部以外を市街地といいますが、その中で特に商店などが密集した防火地域・準防火地域以外はすべて法22条区域に指定されています。
法22条区域に建つ建物には次のように、屋根・外壁・軒裏についての防火基準があります。
*延床面積1,000㎡以下の戸建住宅の防火基準- 屋根は不燃材料で造るか不燃材料で葺く
- 外壁は準防火構造とする
外壁の防火基準は“延焼のおそれのある部分”のみ - 準防火地域に建つ建物に必要な防火基準
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準防火地域とは、火災の危険を防止する為に特別に指定した地域で、住宅地よりも商店などの商業施設が密集している地域です。
準防火地域に建つ建物には次のように、屋根・外壁・軒裏についての防火基準があります。
*延床面積500㎡以下の戸建住宅の防火基準- 屋根は不燃材料で造るか不燃材料で葺く
- 3階建て以上の屋根は防火被覆する
- 外壁は防火構造とする
- 軒裏は防火構造とする
外壁と軒裏の防火基準は“延焼のおそれのある部分”のみ - 防火地域に建つ建物に必要な防火基準
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防火地域とは、準防火地域よりも密集した地域で、より防火基準を高くした地域です。
*延床面積100㎡以下で2階建てまでの戸建住宅の防火基準- 屋根は30分準耐火構造とする(100㎡を超えると30分耐火構造)
- 外壁は45分準耐火構造とする(100㎡を超えると耐火構造)
- 軒裏は45分準耐火構造とする(100㎡を超えると耐火構造)
延焼のおそれのある部分とは
延焼の恐れのある部分とは、隣地の火災による炎や火の粉によって、延焼するおそれがある範囲を指定しています。
建築基準法第2条第6号では、建物の1階の部分については隣地境界線又は道路中心線から3メートルの範囲、2階以上では5メートルの範囲と定めています。
“延焼のおそれのある部分”にある外壁や軒裏そして開口部に対して、防火基準を満たすよういろいろな制限を設けることがあります。
防火基準を満たす外壁の造り方
外壁のリフォーム、張替をする場合は、住宅が建っている区域・地域を確認して、防火基準を満たす外壁にする必要があります。
*区域・地域の確認は市町村の“建築指導”担当部署に問合せて下さい。
戸建住宅で使用される外壁材料は、防火基準に従い耐火等級1~4まで4つに区分されています。
耐火等級 | 遮火・遮熱時間 | 外壁構造 |
---|---|---|
4 | 60分以上 | 耐火構造 1時間準耐火構造 |
3 | 45分以上 | 45分準耐火構造 |
2 | 20分以上 | 防火構造 準防火構造 |
1 | その他 | --- |
防火基準を満たす外壁の構造には2種類あります。
- 外壁単体で防火基準を満たす
- 外壁と内装材や充填材の組み合わせによって防火基準を満たす
外壁単体で防火基準を満たす外壁材料
外壁材料というと“サイディング”という言葉がすぐ浮かびますが、サイディングは素材によって「窯業系」と「金属系」に分かれます。
外壁単体で防火基準を満たすサイディング材料は“窯業系サイディング”になります。
セメントが主材料なのでもともと耐火性はあります。セメントに、ガラス繊維やロックウールなどの無機質繊維と、けい石粉やシリカサンドなどの珪酸原料、木質チップなどの木質繊維、といった材料を加えて陶器を作るような工程で製造されるものです。
耐火性や防火性が優れているので、単体で耐火等級4を満たす商品もあります。
昔は住宅というと“木造モルタル”と称されたように、モルタルの外壁は火災に強い材料です。
一般的なモルタルの外壁はラスを張った上にモルタルを塗るのですが、塗厚が20㎜以上で耐火等級2になります。
軽量コンクリートを成形した“ALC板”の50㎜も単体で耐火等級2を満たします。住宅の構造が鉄骨造の場合は50㎜のALC板単体で耐火等級4に認定される商品もあります。
外壁と内装材や充填材の組み合わせによって防火基準を満たす外壁材料
外壁材として使用される材料はほとんどこのタイプになります。
- 外装材+内装材(主に石こうボード)
- 外装材+充填材(主にグラスウール)+内装材(主に石こうボード)
最近は金属製サイディングの使用が多くなっていますが、金属製サイディングは不燃材料ですが耐火性能はありません。
しかし、内装材や充填材との組み合わせによって耐火等級3を満たす商品があります。
防火基準を満たした材料の組み合わせは、すべて国土交通省の認定を受けています。
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