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終身建物賃貸借制度が改正され高齢者の入居促進がしやすくなった

高齢社会になり65歳以上が3割に近くなり、賃貸事業経営者にとっては“高齢者の入居”を積極的に図る必要が出てきます。高齢者が入居することに対しては、病気による長期の入院や突然の死亡といったことが、経営上のリスクになり“高齢者の入居”を躊躇することが多いと思われます。
「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」の根拠法であった「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の施行規則が平成30年9月に改正され、サ高住で使われている「終身建物賃貸借契約書」による賃貸借契約により、通常の民間賃貸住宅であっても、わずかな修繕工事を加えることで終身建物賃貸借制度の利用が可能になり、“高齢者の入居”に係わるリスク低減を計れるようになりました。

終身建物賃貸借制度は平成30年9月10日より施行された「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の改正施行規則に基づきます。
各都道府県ではこの制度に係る手続きを開始していますが、神奈川県の様式・要綱に従い手続きの手順を解説します。

終身建物賃貸借制度の概要と申請手続

高齢者の居住の安定確保に関する法律は平成13年に制定され、終身建物賃貸借事業の推進が図られましたが、15年を経て平成28年度末の認可実績は約1万戸であり、9割以上がサービス付き高齢者向き住宅になっています。

国土交通省は終身建物賃貸借制度の利用促進を図る為、大幅な条件緩和を行い、利用しやすい制度に変えました。

終身建物賃貸借制度の対象となる入居者と住宅の条件

入居者の条件
終身建物賃貸借制度の対象となる入居者は60歳以上で、同居者も対象になります。
同居者は配偶者または親族ですが、配偶者の場合は60歳未満でも対象です。
床面積の条件
住宅の床面積は25㎡以上ですが、居住環境が確保できる場合は18㎡以上になります。
シェアハウスの場合は専用居室床面積が9㎡以上(一人入居)あり、以下の条件がクリアできる住宅が対象です。

  • 共用部分に居間・食堂・台所、便所、洗面設備、浴室かシャワー室、洗面室か洗濯場がある
  • 便所、洗面設備、浴室かシャワー室が居住人数5人に対し1カ所ある
バリアフリーの条件
階段、便所、浴室に手すりが設置されている

*都道府県によって追加の条件がつく場合があります。

賃貸借契約のポイント

締結する「終身建物賃貸借契約」には次のようなポイントがあります。

契約の終期
入居する契約者が死亡するまで居住でき、死亡により契約は終了し、普通建物賃貸借契約と異なり賃貸借契約は相続されません。
ただし、同居人の希望により入居が継続できます。(死亡を知った日から1ヶ月以内に申出ることが要件)
入居者からの契約解除
入居者が契約期間途中で解約できるケースとして二つあります。

  • 正当な理由により1ヶ月前の通告により解除できる
    • 入居者が老人ホームなどの施設へ入所することになった場合
    • 入居者が親族と同居することになった場合
    • 賃貸人が知事からの改善命令に違反したとき
  • 6ヶ月前通告による解除
仮入居
入居者の希望により仮入居をする場合は、終身建物賃貸借の前に、期間を1年以内とした定期建物賃貸借ができる
賃貸人からの契約解除
賃貸人から契約期間中に契約解除できる条件は二通りあり、6ヶ月前通告が必要です。

  • 住宅の老朽化や損傷・滅失などにより、賃貸住宅として維持ができない場合、又は修繕などに過分の費用がかかる場合
  • 入居者が長期間にわたって居住せず、当面居住する見込みがなく、住宅の適正な管理が困難になったとき

終身建物賃貸借制度の認可を受けるための手続

手続きには次の提出書類を準備します。

  • 事業認可申請書-申請書の様式は高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則(第32条関係別記様式)
  • 都道府県が申請人の本人確認ができない場合は申請人の住民票抄本
  • 住宅の図面と設備や構造の仕様
    • 新築の場合は各階平面図(縮尺1/200程度)、付近見取図
    • 既存住宅の場合は間取図
    • 加齢対応構造等のチェックリスト
  • 契約関係
    • 賃貸借契約書(終身建物賃貸契約書、仮入居賃貸借契約書)
      *標準契約書は終身建物賃貸契約書(連帯保証人型)終身建物賃貸契約書(家賃債務保証業者型)を参考にしてください。仮入居賃貸契約書は通常の定期賃貸借契約書にもとづいて作成します。
    • 新築の場合は工事完了前に敷金や家賃の前払金を受領しないことを誓約する書面
    • 前払い家賃を受領する場合、前払い家賃の算定根拠を明示した書類と前払い家賃を保全する書類
  • 運営状況
    • 長期修繕計画
    • 家賃や敷金の収納状況を記載した書類

*都道府県によって他にも必要な書類が追加する場合があります。(登記事項記載証明書など)

終身建物賃貸借制度の認可申請を行う時期

高齢者の入居促進を考えている大家さんはいつでも申請ができます。

終身建物賃貸借事業はアパートなどの住戸単位ではなく、建物単位で申請します。
つまり、具体的に高齢者の入居予定がない場合でも、事前に申請をしておくことができます。

認可された後も、高齢者以外の方が普通建物賃貸借契約や定期賃貸借契約で入居することはまったくかまいません。

申請先は都道府県ですが、政令市や中核市に物件がある場合は、それぞれの「市」に申請します。

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