「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に関して説明すべき重要事項と法律の背景

老朽化するマンションが社会問題となってきており、建替えに関する法律の整備が進んでいます。分譲マンションの中古物件売買においては、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」について重要事項説明時に説明する義務が生じるケースがあります。
ここでは「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」について解説します。

「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」で説明すべき内容は、第百五条第一項です。

(容積率の特例)
第百五条 その敷地面積が政令で定める規模以上であるマンションのうち、要除却認定マンションに係るマンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。)、容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。以下この項において同じ。)及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの容積率は、その許可の範囲内において、建築基準法第五十二条第一項から第九項まで又は第五十七条の二第六項の規定による限度を超えるものとすることができる。

マンションの建替え等の円滑化に関する法律最終更新:平成29年6月14日

マンションの建替え等の円滑化に関する法律の概要

マンションの建替えは築年数の古いマンションほど喫緊の課題です。
老朽化したマンションは建替えをするか除却するかを、管理組合が判断しなければなりません。
管理組合による建替えの決議は4/5以上の同意によって成立しますが、建替えの場合は事業資金が区分所有者の大きな負担になります。

将来的に建替え資金に関する問題は、もっと深刻な状況になることが予想されますが、大地震が予想される現在、老朽化したマンションの耐震化が急がれています。

建替え資金の負担を軽減する方法として有効なのが、建替え後のマンションの床面積を増加することにより、組合員以外に分譲して換価できる面積が大きくなると、建替え事業費に充当することが可能になります。

具体的には「容積率」を緩和して、建替え前よりも建替え後の延床面積を増加させる政策が必要でした。
その為の条文がマンションの建替え等の円滑化に関する法律第105条の「容積率の特例」です。

容積率の特例が適用されるマンション

建築物の耐震改修の促進に関する法律第二条第一項に規定する耐震診断が行われたマンションの管理者等は、国土交通省令で定めるところにより、建築基準法第二条第三十五号に規定する特定行政庁に対し、当該マンションを除却する必要がある旨の認定を申請することができる。

耐震診断結果にもとづいて、除却の必要があると認定されたマンションは、法第105条の「容積率の特例」が適用されます。
法第105条では「除却する必要がある旨の認定」を申請できるマンションには制限あり、敷地面積の最低条件が決められています。

  • 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、用途地域の指定のない区域に建つマンションの敷地面積は1,000㎡以上
  • 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域は500㎡以上
  • 近隣商業地域、商業地域は300㎡以上

取引するマンションが「除却の必要があると認定されたマンション」である場合は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第105条第1項を説明する必要があります。

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