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住宅診断(ホームインスペクション)を依頼する方法と注意したい問題点

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中古住宅を診断するホームインスペクションとは

中古住宅の購入を検討している時点で、専門家に検討している物件の調査や点検をしてもらい、欠陥や不具合が無いか、どの程度の不具合や劣化が進んでいるかなど、購入希望の方に代わって物件の診断をしてもらうことを“ホームインスペクション”と言います。

10年ほど前から行われるようになった専門家による点検サービスですが、宅建業法でも制度化されてホームインスペクションを依頼する方が増えると予想されています。

調査・点検の内容は、実際に調査を行う会社や機関または調査士によって異なることもあると思いますが、国土交通省が策定したガイドラインには以下の項目を検査対象とすることを明記しています。

  • 構造耐力上の安全性に係わること
  • 雨漏れや水漏れなどの耐久性に係わること
  • 設備配管に発生する日常生活上支障がある劣化について

以上について調査・点検するのですが、次に掲げることについて判定することは必要とされていないので、注意して下さい。

  • 劣化や不具合などの原因が“欠陥”かどうかや、欠陥と思われる場合の瑕疵の有無の判定
  • 耐震性や断熱性、気密性など、建物の性能についての判定
  • 建築基準法に抵触する違反の有無の判定
  • 設計図書との照合

以上の4項目の判定については、建築紛争や損害賠償などの法律的な争いに係わる要素があり、ホームインスペクションの業務内容として相応しくないと考えられています。

検査の方法は目視が中心

調査・点検と言っても大袈裟な器械や器具を使っての検査は行いません。
目視が中心です。

  • 基礎のひび割れ
  • シロアリの被害
  • 腐れや傷み
  • 雨漏れ・水漏れ
  • 配管のつまりやサビ

このような検査は目視で行います。

配管については、通水が出来ない物件など、検査が出来ない場合もあります。

検査項目の中には簡単な器械や器具が必要なものあります。
床や建物の傾斜は、建物の耐久性や構造上の安全性のチェックに大切なポイントです。水平器やレーザーレベルなどを使って行います。

その他、基礎の配筋の有無を調べるための簡単な器具を使うこともあります。
また、足場を組んで検査を行うことはしませんので、外壁などの検査では詳しい検査は出来ません。

ホームインスペクションの費用は数万円が多いと思います。

ホームインスペクションを行う専門家とは

ホームインスペクションを行う専門家は、法律で決められているわけではありません。
国土交通省はガイドラインの中で、次のような資格や能力を保有している人としています。

  • 建築士
  • 建築施工管理技士
  • 既存住宅の住宅性能評価における現況検査の実務経験又は能力
  • フラット35(中古住宅)に係る適合証明業務の実務経験又は能力
  • 共同住宅に係る建築基準法に基づく定期点検・報告に係る業務の実務経験
  • 住宅のアフターサービス等としての定期的な点検の実務経験
  • 住宅リフォーム工事の施工(事前調査を伴うもの)の実務経験

*民間資格ですが、NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会 が実施する“住宅診断士”の資格制度もあります。

インスペクターに求められる第三者性

調査・点検を行うインスペクター(検査業務を行う人や会社など)には“客観性や中立性”、つまり調査・点検を行う物件の売主や仲介する不動産会社との関係において、第三者が求められます。

売主や仲介会社の関係者であれば、売買に不都合な事実は報告しないとか、報告内容に手心を加えるようなことがあってはなりません。

その為、インスペクターが自ら売主となる物件はインスペクションをしないことが明記されています。他にも次のような“客観性や中立性”を確保するよう遵守すべきこととして、依頼主に明らかにする事や禁止することなどが明記されています。

依頼主に明らかにする事

  • インスペクターが不動産業や建設業を営んでいる場合
  • インスペクションする物件の仲介業務やリフォーム工事をインスペクターが受託しているか受託予定であること
  • インスペクターが売主や仲介不動産会社との資本関係にあること
  • 複数の依頼主からインスペクション業務を受託する場合

禁止する事

  • 複数の依頼主からインスペクション業務を受託する場合、依頼主の承諾なく依頼主以外から報酬を受け取ること
  • 住宅の流通やリフォームに係わる業者から謝礼などを受け取ること
  • 依頼主の紹介や依頼主への推薦を受けたことに対する謝礼を提供すること

不動産仲介会社にあっせんを依頼する

中古住宅の流通市場ではホームインスペクションに対する認識は割合低いものがあります。

不動産仲介会社の中には、ホームインスペクションに関する知識がまったく無いということも珍しくありません。
取引しようとしている住宅の劣化状態など正確な認識も無く、安易に紹介し購入を勧めるということが平気で行われて来ました。

住宅の耐用年数が長くなり、住宅市場での中古住宅の位置づけが高くなり、新築よりも中古というエンドユーザーが多くなっています。
その中で、中古住宅市場の信頼感を高める上で、ホームインスペクションの役割はたいへん高いものになって来ました。

国土交通省は制度として“ホームインスペクション”を定着させるため、平成30年度より、ホームインスペクションの説明義務化を図ることにしました。

これは、購入者にホームインスペクションの役割と、希望があればインスペクターをあっせんできるかできないかの旨を説明する、ことを義務付けしたものです。

これまであまり知られていなかった“ホームインスペクション”という言葉を、平成30年4月からは、中古住宅購入希望者は聞くことになります。
そして、これから購入しようかなと検討中の物件について、調査・点検を希望するならインスペクターをあっせんしますとか、あっせんできないといったことを不動産仲介会社から説明を受けることになります。

あっせんを希望する場合

あっせんを希望する場合には、その旨を仲介会社に伝えます。
すると仲介会社は名簿などを見せてくれ、希望のインスペクターを選ぶことが出来ます。
不動産仲介会社があっせんするインスペクターは、国土交通省に登録した“既存住宅状況調査技術者”に限定されます。また、調査報告内容は売買契約に係わる重要事項説明書に反映させることができます。

不動産仲介会社からのあっせんを受けてホームインスペクションを行った場合、業務報酬の支払いは直接インスペクターにするように注意して下さい。

あっせんを希望しない場合又は仲介会社があっせんできない場合

不動産仲介会社のあっせんでは無く、自らインスペクターを探すとか、知っているというケースもあると思います。
あるいは、不動産仲介会社があっせんできない場合には自らインスペクターを探さなければなりません。

ホームインスペクターには2種類あります。
上に書いたように、国土交通省が定めた「既存住宅状況調査技術者講習登録規程」に基づく既存住宅状況調査技術者と、それ以外のインスペクターです。

既存住宅状況調査技術者講習登録規程」に基づく既存住宅状況調査技術者は “建築士” に限定されています。

既存住宅状況調査技術者に関しては以下のリンクから検索が出来ます。

国土交通省に登録した技術者以外から探す場合は、「ホームインスペクター」とか「住宅診断」といったキーワードでウェブ検索する方法になると思います。

インスペクターに求められる第三者性に書いたように、インスペクターを探す時の一番大切なことは、客観性・中立性を確保できるかどうかです。しっかりと見極めて下さい。

参考記事「ホームインスペクションの義務化と今後の課題」

ホームインスペクションの義務化と今後の課題
宅建業法にもとづく「建物状況調査(インスペクション)」が平成30年4月からスタートし、1年が経過しました。アメリカでは広く実施されているホームインスペクションを、日本でも普及していこうとの試みですが、残念ながら実施率が高まったという声は聞き...

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