50年に一度とか、これまでに経験したことの無い、などの表現をされる大雨。
日本国中どこでも大雨による洪水や土砂災害に見舞われる可能性があります。
山間部や平野部も関係なく、地方も首都圏も区別がありません。
水害に強い家造りを考えてみました。
その答えはズバリ・・・基礎断熱と土間コンクリート床の住宅です。
基礎断熱の住宅が増えている
基礎断熱は寒冷地の住宅で使われるようになった工法ですが、じょじょに全国に広まっています。
厳しい気候の寒冷地では断熱性能の高さが、室内環境の快適さに直結します。そればかりか省エネルギーの面でも高断熱性能を持った住宅が求められています。
断熱は床・壁・天井と室内を囲む三面の部位に施工しますが、壁の断熱方法に「外張り断熱」と「充填断熱」があります。最近では外張り断熱に充填断熱を加える「付加断熱」という考え方も出てきています。
基礎断熱は外張り断熱の場合の基礎の断熱方法として生まれたものです。
基礎の外側に板状に成型した発泡系の断熱材を、コンクリートを打ち込むときに同時打ち込みで施工します。
基礎面を断熱することによって、木造の建物には必ず設置されていた“床下換気口”を設置することはできません。木造の建物では床下の構造部材の乾燥は極めて大事なことです。
そこで、基礎断熱を施工した木造の建物では、1階の床下に地盤からの湿気の流入を防ぐために、防湿コンクリートを施工するのが一般的です。
基礎の形式の一つである“べた基礎”には、防湿コンクリートとしての働きもあり、基礎断熱の場合には「べた基礎」か「布基礎+土間コンクリート床」が基礎の形式になりますが、この形式が水害に強い住宅を造ることのできる方法です。
床を高くして床上浸水を防ぐ
まず考えられるのは床を高くすることですが、方法としては基礎を高くすることが一番手っ取り早いでしょう。
基礎高さ以内での浸水であれば、あまり被害は大きくならないと思いますが、通常の木造住宅では床下換気口からの浸水があるので、床下を設けることの無い土間コンクリート床が望ましくなりますし、床下に溜まった水の排水と床下の乾燥という、一番やっかいな問題をクリアできます。
床面を超える浸水となった場合、土石流や流木による被害を防ぐことも考えねばなりません。その点では、鉄筋コンクリート造が望ましいのですが、木造住宅でもある程度頑丈な造りにすることは可能です。例えば以下のような方法が考えられます。
- 土台と基礎の緊結を入念にする
- 耐力壁を剛壁とする
床上浸水になった場合の被害の最小化を図る
床上浸水になると床下浸水とは比較できないほどの被害を受けます。
その場合でも、住宅の造り方によって被害を少なくすることが可能です。
浸水による建材類への影響を出来るだけ少なくする工夫によって被害は大きく変わります。
床上浸水すると、床と壁が水が引くまで水中に没する状態となります。
一番影響を受けるのは繊維系の断熱材です。
繊維系断熱材を使用しないか、又は使用した場合でも簡単に交換できるような工夫です。
床材の下には通常は繊維系の断熱材を充填しますが、浸水しても断熱材の交換をする必要が無いように、床下の断熱は行わず基礎断熱を行います。
すると浸水した場合は床下地は乾燥させるだけでよいようになります。
続いて壁ですが、充填断熱と外張り断熱のケースがあります。
充填断熱の場合は断熱材の交換が必要です。交換工事は内側から行う方が望ましいと思います。
外張り断熱は一般的には押出成型板を使用することが多く、この場合は交換の必要はありません。壁軸組の乾燥を行えば充分です。
以上を分かりやすく図にしてみました。
次の図のように基礎高にして土間コンクリート床にし、基礎断熱を行う工法が水害を考慮した住宅の工法ではないかと思います。
おまけ~避難できるルートを確保する
最近の住宅は気密性を高めるケースが多く、北国などでは樹脂サッシや木製サッシを使うことが多くなっています。
窓の形式も以前のような“引き違い窓”ではなく、押し開き窓が多く使われるようになっていますが、窓の高さまで浸水すると水圧で窓が開けられなくなることも考えられます。
1ヶ所は引き違い窓にして、脱出できる開口部を確保することも大切です。
コメント