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「流通業務市街地整備法」に関して説明すべき重要事項と法律の背景

不動産の売買契約前に行う重要事項説明で説明すべき法令として定められている「流通業務市街地整備法」。同法にもとづいて流通業務市街地を整備した地区が全国に43ヶ所あります。該当する都市において、対象となる物件の取引がある場合は、制限の内容を確認して説明しなければなりません。
ここでは「流通業務市街地整備法」について解説します。

「流通業務市街地整備法」で重要事項説明において説明すべき項目は以下のとおりです。

  • 流通業務地区内の規制-第五条第一項
  • 流通業務施設の建設義務-第三十七条第一項
  • 造成敷地等に関する権利の処分の制限-第三十八条第一項

流通業務市街地の整備に関する法律最終更新:基準日

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流通業務市街地整備法の概要

正式名称は「流通業務市街地の整備に関する法律」と言います。昭和41年に制定された法律です。
都市における流通業務市街地の整備に関し必要な事項を定めることにより、流通機能の向上及び道路交通の円滑化を図り、もつて都市の機能の維持及び増進に寄与することを目的としています。

物流量の増大による自動車交通の渋滞が深刻な状況となり、大都市に限らず全国の都市には物流施設が建設され、無秩序な立地は交通の渋滞を招く結果になってきました。
都市における流通機能を向上させ、自動車交通の円滑化を図る為には、既成市街地の外周および幹線道路沿いに流通業務施設を集約させ、都心部への無用の自動車流入を防止し、効率的な流通業務を可能にするしくみをつくる必要があり、このような変化に応じ平成5年に抜本的に改正されました。

流通業務市街地

「流通業務市街地の整備に関する法律」にもとづいて、都市計画に「流通業務地区」を指定し、中核として「流通業務団地」を造成する事業が全国の都市で実施されました。
平成25年現在、全国に43の実施地区があります。

流通業務団地整備の現状

都市名 地区名 備考
札幌市 大谷地 稼働中
北上市・花巻市 花巻 稼働中
郡山市 郡山 稼働中
郡山南 稼働中
水戸市 先端総合流通センター 非都市計画事業へ移行
宇都宮市 鹿沼 稼働中
越谷市 越谷 稼働中
東京都 南部 稼働中
西北部 稼働中
北部 稼働中
東部 稼働中
新潟市 新潟 稼働中
富山市 富山 稼働中
岐阜市 岐阜 稼働中
名古屋市 西部 稼働中
大阪府 東大阪 稼働中
北大阪 稼働中
神戸市 阪神 稼働中
神戸 稼働中
西神 稼働中
米子市 米子 稼働中
岡山市 岡山 稼働中
広島市 西部 稼働中
東部 稼働中
福岡市 福岡 稼働中
鳥栖市 鳥栖 稼働中
熊本市 熊本 稼働中
大分市 大分 非都市計画事業へ移行
鹿児島市 鹿児島 稼働中
高知市
北九州市

出典:国土交通省(平成25年3月31日時点)

流通業務市街地の整備に関する法律の制限の内容

流通業務地区に指定された区域内では、建設できる施設が限定されます。

(流通業務地区内の規制)
第五条 何人も、流通業務地区においては、次の各号のいずれかに該当する施設以外の施設を建設してはならず、また、施設を改築し、又はその用途を変更して次の各号のいずれかに該当する施設以外の施設としてはならない。ただし、都道府県知事(市の区域内にあつては、当該市の長。次条第一項及び第二項において「都道府県知事等」という。)が流通業務地区の機能を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
一 トラックターミナル、鉄道の貨物駅その他貨物の積卸しのための施設
二 卸売市場
三 倉庫、野積場若しくは貯蔵槽(政令で定める危険物の保管の用に供するもので、政令で定めるものを除く。)又は貯木場
四 上屋又は荷さばき場
五 道路貨物運送業、貨物運送取扱業、信書送達業、倉庫業又は卸売業の用に供する事務所又は店舗
六 前号に掲げる事業以外の事業を営む者が流通業務の用に供する事務所
七 金属板、金属線又は紙の切断、木材の引割り、その他物資の流通の過程における簡易な加工の事業で政令で定めるものの用に供する工場
八 製氷又は冷凍の事業の用に供する工場
九 前各号に掲げる施設に附帯する自動車駐車場又は自動車車庫
十 自動車に直接燃料を供給するための施設、自動車修理工場又は自動車整備工場
十一 前各号に掲げるもののほか、流通業務地区の機能を害するおそれがない施設で政令で定めるもの

流通業務施設用の用地を取得した場合、一定期間内に流通業務施設を建設しなければなりません。

(流通業務施設の建設義務)
第三十七条 施行者から流通業務施設を建設すべき敷地を譲り受けた者(その承継人を含むものとし、国、地方公共団体その他政令で定める者を除く。)は、施行者が定めた期間内に、国土交通省令で定めるところにより流通業務施設の建設の工期、工事概要等に関する計画を定めて、施行者の承認を受け、当該計画に従つて流通業務施設を建設しなければならない。

流通業務団地の工事完了後10年間は、流通業務施設用の用地と用地の上の建築物の権利移転や権利設定は、都道府県知事の承認を受けなければなりません。

(造成敷地等に関する権利の処分の制限)
第三十八条 第三十条第二項の公告の日の翌日から起算して十年間は、造成敷地等又は造成敷地等である敷地の上に建設された流通業務施設又は公益的施設に関する所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転については、国土交通省令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の承認を受けなければならない。ただし、次の各号の一に掲げる場合は、この限りではない。
一 当事者の一方又は双方が国、地方公共団体その他政令で定める者である場合
二 相続その他の一般承継により当該権利が移転する場合
三 滞納処分、強制執行、担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。)又は企業担保権の実行により当該権利が移転する場合
四 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律により収用され、又は使用される場合
五 その他政令で定める場合

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