引渡しまでに地目変更登記を行うことを特約条項に加える場合があります。
建売住宅などの土地と建物を同時に引渡すなどの時、現状の地目が“原野”になっていたり、市街化区域内の農地を売買する為に雑種地に変更するといったケースなどです。
ここでは地目変更に係わる媒介業者の役割について解説します。
地目変更登記について
地目変更を引渡し前に行うことは売主の義務になります。
変更登記そのものは土地家屋調査士が行いますが、その打ち合わせや必要書類の準備などは売主に代わって媒介業者が行うことが多いものです。
*土地家屋調査士に依頼せずに所有者本人が行うことができます。また、代理人が行うこともできますが、無償であっても代理人がくり返し登記申請業務を行うと土地家屋調査士法第68条に違反する恐れがあります。
媒介業者が売主に代わって地目変更登記に係わる場合は、登記申請そのものは土地家屋調査士に依頼し、必要書類の準備などの範囲に留めるべきです。
地目変更登記に必要な書類
地目変更登記に必要な書類には必ず必要な書類と、ケースによって必要な書類があります。
必ず必要な書類
- 登記申請書(土地家屋調査士事務所で用紙をもらいます)
- 案内図(土地の場所が分かる地図)
ケースによって必要な書類
- 委任状(土地家屋調査士に登記申請を依頼する場合)
- 住民票または戸籍附票(所有者の登記されている住所が変わっている場合)
- 相続登記に必要な書類と同等の書類(所有者が亡くなっている場合)
- 非農地証明または農地転用届(農地を宅地や原野に変更する場合)
市街化区域内の農地を地目変更するには
売買する現況宅地の地目が農地になっている場合があります。
この場合には、地目変更申請の前に必要な手続きがあります。
- 家屋が建っていたり木材置き場になっているなど、一定の条件を満たしている場合は非農地証明を農業委員会から交付してもらう
- 非農地に該当しない場合は、農地転用届を農業委員会に提出します
どちらも農業委員会が所管するので、自治体によって時間がかかる場合があります。
地目の種類
不動産売買の現場で係わる地目は意外と種類が少なく、よく目にする地目を含めて以下のようにたくさんの地目があります。
(不動産登記事務取扱手続準則第68条)
- 田:農耕地で用水を利用して耕作する土地
- 畑:農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
- 宅地:建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地
- 学校用地:校舎,附属施設の敷地及び運動場
- 鉄道用地:鉄道の駅舎,附属施設及び路線の敷地
- 塩田:海水を引き入れて塩を採取する土地
- 鉱泉地:鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地
- 池沼:かんがい用水でない水の貯留池
- 山林:耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
- 牧場:家畜を放牧する土地
- 原野:耕作の方法によらないで雑草,かん木類の生育する土地
- 墓:地人の遺体又は遺骨を埋葬する土地
- 境内地:境内に属する土地であって,宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む。)
- 運河用地:運河法(大正2年法律第16号)第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地
- 水道用地:専ら給水の目的で敷設する水道の水源地,貯水池,ろ水場又は水道線路に要する土地
- 用悪水路:かんがい用又は悪水はいせつ用の水路
- ため池:耕地かんがい用の用水貯留池
- 堤:防水のために築造した堤防
- 井溝:田畝又は村落の間にある通水路
- 保安林:森林法(昭和26年法律第249号)に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
- 公衆用道路:一般交通の用に供する道路(道路法(昭和27年法律第180号)による道路であるかどうかを問わない。)
- 公園:公衆の遊楽のために供する土地
- 雑種地:以上のいずれにも該当しない土地
*太字の地目が不動産売買でよく見るもので、それ以外はほとんど係ることの無い地目です。
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