不動産取得税の軽減制度が適用できる場合の必要条件

不動産に関する税金にはいろいろありますが、不動産を取得した時に関係する税金について、媒介業者も知っておかなければならないことがあります。知らない為に間違った説明をしてしまいトラブルになるケースもあります。ここでは不動産取得税について説明します。

不動産取得税の概要

不動産取得税は不動産を取得した時に課税されますが、課税されない例外もあります。
課税されるケースと課税されないケースなど、不動産取得税の概要について説明します。

不動産取得税が課税される時
不動産を取得した原因が以下の場合に課税されます。

  • 売買
  • 交換
  • 贈与
  • 寄付
  • 法人への不動産による現物出資
  • 建物の新築や増築
  • 建売住宅が完成し6ヶ月が経過しても分譲されていない場合、建売住宅の売主である宅地建物取引業者に課税(平成32年3月31日までは1年経過した場合)
不動産取得税は課税されるが軽減される時
不動産を取得した原因が以下の場合に軽減措置があります。

  • 取得した土地に住宅を建てた場合 → 詳細
  • 新築の建売住宅や新築分譲マンションを購入した場合 → 詳細
  • 中古住宅(分譲マンションも)を購入した場合 → 詳細
不動産取得税が課税されない時
不動産を取得した原因が以下の場合に非課税となります。(一部省略)
*非課税申告書が必要になるものは都道府県の担当部署で確認してください。

  • 相続(ただし相続人以外への遺贈は課税)
  • 土地区画整理事業等による換地
  • マンションの建替え等の円滑化に関する法律に基づく敷地の取得(平成32年3月31日まで)
  • 学校法人や宗教法人が本来の事業の為に不動産を取得
  • 公共の用に供する道路用地等の取得
  • 法人が合併したり分割した場合による不動産の取得

不動産取得税の軽減措置

不動産取得税の軽減措置には次のようなものがあります。

取得した土地に住宅を建てた場合に不動産取得税が軽減される条件

土地を購入して住宅を新築するケースがこの場合の典型的なものです。
土地を購入して住宅を新築する人が軽減される条件には、建てる住宅と購入する土地にそれぞれ条件があります。

  • 住宅の延べ面積が50㎡以上~240㎡以下(物置や車庫の面積も含めます)(アパートなどは40㎡以上~240㎡以下)
  • 土地を取得してから3年以内に住宅を新築する
  • 土地の取得が新築した後になる場合は、新築してから1年以内に土地を取得する

上以外に、他の人が住宅を新築した時に、土地を取得していた人が軽減されるケースもあります。
取得した土地に他の人が住宅を新築した場合や、譲渡した土地に譲受した人が住宅を新築した場合にもその土地を取得した時点に遡って軽減されます。
この場合も建てる住宅と購入する土地にそれぞれ条件があります。

  • 住宅の延べ面積が50㎡以上~240㎡以下(物置や車庫の面積も含めます)(アパートなどは40㎡以上~240㎡以下)
  • 土地を取得してから3年以内に他の人が住宅を新築をし、新築するまでの期間ずっと所有している
  • 3年以内に取得した土地を他の人に譲渡し、譲受した人が3年以内に住宅を新築する
新築の建売住宅や新築分譲マンションを購入した場合に不動産取得税が軽減される条件

建売住宅や分譲マンションのように土地とセットになった物件を購入した場合です。

  • 住宅の延べ面積が50㎡以上~240㎡以下(物置や車庫及びマンションの共用部持分の面積も含めます)
  • 新築未使用の住宅(新築後1年以内)
  • 新築から1年を超えた場合は自ら居住していること(土地と住宅の取得時期が異なる場合は、住宅の取得前後1年以内に土地を取得していること)
中古住宅(分譲マンションも)を購入した場合に不動産取得税が軽減される条件

中古住宅と中古分譲マンションに適用されます。耐震基準に適合している物件を取得した場合に軽減されます。

  • 住宅の延べ面積が50㎡以上~240㎡以下(物置や車庫及びマンションの共用部持分の面積も含めます)
  • 新築年月日が昭和57年1月1日以降か、建築士等が耐震診断の結果、新耐震基準に適合していると証明した物件
  • 取得した人が自ら居住すること
  • “耐震基準”に適合しない場合、取得してから6ヶ月以内に耐震改修工事を行い、新耐震基準に適合していることが証明された物件
この軽減措置は、宅建業者が中古住宅を購入して一定の改修工事を行ってから個人に譲渡した場合、購入者である個人が上記の居住要件などを満たしていると、宅建業者に課税される不動産取得税に適用されます。但し、平成31年3月31日までに取得した土地で、住宅が新築から10年経過していることが必要です。

不動産取得税の課税方法と軽減措置の内容

不動産取得税は土地や建物を取得したり建築した時に課税されます。登記されているかどうかは関係ありません。実質的に取得した場合に課税されます。

課税する不動産の価格は、固定資産評価基準や固定資産課税台帳の登録価格です。
ただし、平成33年3月31日までに取得した宅地などは価格が1/2になります。
(この期限は延長になるかも知れないので、平成32年に再確認して下さい。)

税率は以下の通りです。

  • 土地の税率=3%
  • 住宅=3%
  • 住宅以外の家屋=4%

課税標準額が低くなると税額は少額になるので、下限があり価格が次の場合は課税されません。

  • 土地の課税標準額が10万円未満
  • 家屋の新築、増築、改築は23万円
  • 家屋の売買などは12万円

軽減措置の詳細

不動産取得税の軽減制度が適用されると次のような軽減措置がとられます。

新築住宅の取得
建物の課税標準額から1,200万円を控除した残額に課税(課税標準額が1,200万円以下であれば税額はゼロ)
認定長期優良住宅を平成32年3月31日までに取得した場合は控除額が1,300万円になります。
中古住宅の取得
中古住宅は物件の新築時期によって控除額が変わります。

昭和29年7月1日~昭和38年12月31日 100万円
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 150万円
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 230万円
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 350万円
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 420万円
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 450万円
平成元年4月1日~平成9年3月31日 1,000万円
平成9年4月1日以後 1,200万円
宅地の取得
税額から控除する金額が定められており、次の金額の高い方の金額が控除されます控除されます。

  • 45,000円
  • 宅地の㎡単価×住宅の面積の2倍(200㎡が限度)×3%(平成33年3月31日までに宅地等を取得した場合は、宅地の単価を1/2にします)

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