高気密・高断熱のしくみと正しい省エネルギー住宅とは

省エネルギー住宅を実現する大切な方法は、高断熱化と高気密化住宅にすることです。
では、高断熱・高気密のしくみはどのようなものなのでしょうか。ここでは、熱の特性について学びたいと思います。

熱は高い所から低い所へ流れていく

熱は水の流れと同じように高い所から低い所へ流れていきます。
冬は室内の温度より外気の方が寒いので、室内から室外へと熱は逃げていきます。逆に、夏は室内の温度より外気の温度が高いので、室外から室内へと熱が入ってきます。

温度差が大きいと熱の流れる量も大きくなります。断熱とは、その熱の流れを少なくする方法です。
熱が伝わりにくい材料を室内と室外の間に配置することによって、内外の温度差があっても、熱の流れを断ち切ることが出来ると、熱は伝わらなくなります。
熱が伝わることを防ぐ最高のもの=熱伝導率がゼロのものが真空の状態です。

ただし残念ですが地球上では完全な真空状態を作ることはできませんので、出来るだけ真空に近い状態を作り出す開発が行われています。

住宅の断熱工法に使われる材料は、真空技術を使うようなものは使えませんので、空気の断熱性を利用した材料が使われます。
綿のような繊維状の材料と発泡樹脂を板状にしたものがあります。

繊維系の断熱材には次のようなものがあります。

  • グラスウール
  • ロックウール
  • セルロースファイバー

板状系の断熱材には次のようなものがあります。

  • ポリスチレンフォーム
  • ウレタンフォーム

繊維系の断熱材は水分の吸収によって体積が減少し、断熱性能の低下が懸念される材料です。20年、30年という期間ではあまり問題は無いと思いますが、最近話題になりだした長寿命住宅に使用する断熱材としてはすこし疑問を持っています。

板状の断熱材は、主に使われているのは上に書いた2種類がありますが、発泡ウレタンは紫外線による経年劣化が指摘されていますが、通常は壁体内の断熱材に紫外線の影響があるとは考えられませんが、コスト的な観点からはポリスチレンフォームが多く使われています。
ただし、ポリスチレンフォームにも欠点があり、経年によって収縮が起こります。収縮すると、継ぎ目にすき間が生まれることになりますので、その欠点をカバーする施工方法が望まれます。

断熱材の役割と気密性

断熱材は熱が逃げるのを防ぐという役割がありますが、熱を逃がさないようにするにはもうひとつ大事なことがあります。それは、空気の流れによって熱が逃げることを防ぐこと、つまり気密性を高めることが大変重要なことです。

断熱は熱の流れを断ち切ること!そして、気密は空気の流れを断ち切ること!

断熱化・高気密化することによって、室内の熱環境を一定に保ち、その為のエネルギー消費を限りなく少なくすることが出来るのです。

Q値とC値とは?

断熱性と気密性を表す数値がQ値とC値です。

断熱性能を表すQ値
熱損失係数をQ値といいます。
数値が低いほど断熱性能は高くなります。

省エネルギー法に基づく省エネルギー基準が決められており、省エネルギー基準に適合した住宅を建てることが、快適で健康な生活と地球環境を維持することにつながっていきます。

省エネルギー基準

地域区分
次世代省エネ基準 1.6 1.9 2.4 2.7 2.7 3.7

現在推奨されている省エネルギー基準のQ値は、平成11年に定められた次世代省エネルギー基準の数値です。
地域区分はⅠが北海道、Ⅵが沖縄県、Ⅱ~Ⅴは東北地方から九州までの各都府県です。

すき間の大きさを示すC値
相当すき間面積をC値といいます。
数値が低いほど気密性能は高くなります。

床面積1㎡あたりのすき間面積を言いますが、例えばC値が2.0の場合には、床面積100㎡(約30坪)の住宅の場合のすき間は200c㎡(10㎝×20㎝の穴)となります。

次世代省エネルギー基準では、地域区分ⅠとⅡがC値2.0以下Ⅲ~ⅥがC値5.0以下とされています。

北海道仕様の高気密高断熱住宅

寒冷地向け住宅の性能向上に長年寄与してきた民間組織が北海道にあります。
新住協という組織ですが、ここでは、Q値1.6を超えるQ値1.0の住宅実現を目差しています。
Q1プロジェクトと名付けられ、多くのビルダー・工務店が様々な取り組みを行っています。

北海道で造られる住宅は高断熱高気密の性能を充分に持ったものですが、この高性能な住宅は、寒冷地だけではなく温暖地であれば、夏の冷房負荷を低減する効果もあります。
その為、九州地方などでは、北海道仕様の住宅がそのまま建てられているケースもあります。

地域区分に関係なく、これからは全国共通の仕様として高気密高断熱住宅が定着するように思います。

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