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宅建業者が免許の取消し処分を受けるのはどんな時か

免許取消

宅建業は宅建業法による免許が無ければ営むことのできない事業です。免許の更新は5年に1度ですが、更新時期とは無関係に監督処分を受ける理由が発生した時は処分を受けます。

この記事では宅建業の免許取消しに関わる条件と、免許取消しをテーマとした宅建試験の問題に焦点をあて解説します。

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宅建業者が免許を取消される理由

宅建業免許の取消しは宅建業法第66条に規定されています。
どのような場合に取消し処分となるのか、順に解説していきます。

  1. 宅建業法第5条の適用を受けたとき
    宅建業法第5条には、宅建業者が次の状態なったときに取消されると明記しています。

    • 破産手続開始の決定を受け、復権を得ていない
    • 拘禁刑以上の刑を受け、執行が終わったか執行猶予期間が過ぎてから5年経過していない
    • 宅建業法および暴対法に違反し罰金刑を受け、執行が終わったか執行猶予期間が過ぎてから5年経過していない
    • 心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない
    • 暴力団員等がその事業活動を支配している
  2. 宅建免許を受けた者が未成年の場合、法定代理人が宅建業法第5条の第1項1号~第7号または第1項10号に該当したとき
  3. 法人の役員や使用人および個人事業の場合は使用人が、宅建業法第5条の第1項第1号~第7号または第1項10号に該当したとき
  4. 免許換えの場合の免許を受けていないとき
  5. 免許を受けてから1年以内に事業を開始していない
  6. 1年以上事業を休止した
  7. 破産手続き開始決定や合併などにより廃業や、宅建業の廃止による届出をしなかった
  8. 不正な手段により免許を得た場合
  9. 処分の理由が重い事業の停止を受けたり、業務停止処分に違反した場合に
  10. 宅建免許の条件に違反したとき

出典:宅建業法第66条

以上が法第66条による免許取消しの条件になりますが、免許取り消しにはもうひとつ重要な規定があります。それが宅建業法第67条の「事務所の確知不能」に該当した場合、つまり事務所の所在が確認できないときには、官報または公報で公告され30日間以内に申出がなければ取消しとなります。

宅建士の登録が抹消される理由

宅建業者の免許が取消されると事業の継続ができなくなりますが、専任の宅建士の登録が抹消されても事業の継続が難しくなります。

宅建士の登録抹消は次に掲げる理由により行われます。

  1. 宅建業の営業に関して成年者と同一の能力をもたない未成年者
  2. 破産手続開始の決定を受け、復権を得ていない
  3. 宅建業免許の取消し処分を受けてから5年経過しない者、または業者が法人の場合は、取消し処分を受ける前60日以内に役員であった者で、取消し処分から5年経過しない者
  4. 取消し処分の聴聞が決定し処分の日までに宅建業の廃止をしその届出から5年経過しない者
  5. 免許の取消し処分に関係して法人の合併により消滅した法人、または破産手続開始の決定以外の理由により解散した法人の役員(取消処分の聴聞の公示前60日以内の役員)で、法人の消滅や解散届から5年を経過しない者
  6. 拘禁刑以上の刑を受け、執行が終わったか執行猶予期間が過ぎてから5年経過していない
  7. 宅建業法および暴対法に違反し罰金刑を受け、執行が終わったか執行猶予期間が過ぎてから5年経過していない
  8. 宅建士が暴力団員である
  9. 心身の故障により宅建士の事務を適正に行うことができない
  10. 不正な手段で宅建士の登録を受けたまたは宅建士証の交付を受けた
  11. 宅地建物取引士としてすべき事務の禁止等(第68条)に該当し情状が重いとき
  12. 上記の禁止処分に違反したとき

出典:宅建業法第68条の2

宅建業者の免許取消しの状況

令和5年度末の宅建業者の監督処分・行政指導の実施状況は以下のとおりです。

  1. 免許取消 97 件
  2. 業務停止 33 件
  3. 指示    37件
  4. 行政指導 531 件

出典:国土交通省「令和5年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」
業者数は130,583 業者あり、行政指導を含めて何らかの処分等を受けた割合は0.53%となりました。免許取消しは前年比54%の増加となっています。

令和6年宅建試験[問31]の解説

令和6年宅建試験[問31]では宅建業者の免許取消しに関する4つの記述があり、正しい記述を選択する問題でした。

記述1は、宅建業法第65条第1項の規定による指示にしたがわない場合は、業務の停止が命ぜられ業務停止の処分に違反した場合は、免許取消しされると書かれており「正しい」答えです。正解は[1]となります。

記述1が正しいので他3つの記述は間違いですが、どのような間違いがあるのか確認していきます。

記述2は、事務所の所在地が確知できない場合の免許取消しですが、公告の日から2週間経過と書かれており正しくは30日です。

記述3は、免許取消しの処分にあたっては聴聞を行いますが、聴聞は公開することが相当と認められる場合を除き公開されないと書かれています。聴聞は宅建業者に弁明の機会を与えるものであり、公開することにより公平性を保つ仕組みになっており、非公開はありえないことです。したがって記述は間違いです。

記述4は、業務停止の処分をしたときは公告しなくてよいと書かれていますが、宅建業法第70条により、監督処分は公告することになっており誤った記述です。ただし指導は公告されませんので注意が必要です。

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