省エネ基準適合義務化に伴う住宅ローン減税の適用基準変更

新築住宅

新築住宅を建てる方にとって住宅ローン減税は、新居に引っ越ししてからはじまるローン返済の負担を軽減する必須の制度となっています。

しかし2024年からは、住宅ローン減税を受けられる住宅の範囲が狭くなります。
住宅ローン減税を受けるには「省エネ基準」を満たしていなければなりません。

この記事では2025年からの省エネ基準義務化と2024年からの住宅ローン減税について解説します。

2024年からの住宅ローン減税

省エネ基準とは「建築物省エネ法」に基づくもので、建築物が備えるべき省エネ性能として「一次エネルギー消費量基準」と「外皮基準」が定められています。

住宅に対する省エネ基準の適用については、2025年から義務化されることが決定しており、すべての建築物が省エネ基準を満たしていなければ建てられない時代がやってきます。

住宅ローン減税の変更は省エネ基準義務化に向けた対応の前倒しとも言え、2023年12月31日までに建築確認を受けたものを除き、2024年中に新築して入居する住宅は省エネ基準を満たしたものでなければ減税が受けられません。

義務化される省エネ基準とは

住宅の省エネルギー性能に関しては、3つの仕様グレードがあります。最低の基準としてあるのが「省エネ基準適合住宅」であり、次に「ZEH水準省エネ住宅」があり最上位が「長期優良住宅および低炭素住宅」となっています。

最低基準である省エネ基準は次の等級をクリアする必要があります。

  • 断熱等性能等級が4以上
  • 一次エネルギー消費量等級が4以上

ZEH水準省エネ住宅になるとさらに基準は上がり次のようになります。

  • 断熱等性能等級が5以上
  • 一次エネルギー消費量等級が6以上

長期優良住宅はZEH省エネ基準に加えて耐震等級3が要件であり、低炭素住宅はZEH省エネ基準に加えて再生可能エネルギー利用設備の導入に「低炭素化に資する措置」が講じられていることが要件となります。

住宅ローン減税の概要

ローン減税

引用:国土交通省「住宅ローン減税における省エネ性能の必須要件化について」

2024年以降の住宅ローン減税は次のように摘要される金額の限度額があり控除率は年末時の融資残高の0.7%、控除期間は13年となります。

【適用限度金額】

  • 認定長期優良住宅と認定低炭素住宅は4,500万円
  • ZEH水準省エネ住宅は3,500万円
  • 省エネ基準適合住宅は3,000万円
  • その他の住宅は0円、ただし2023年末までに建築確認を受けた物件は2,000万円

省エネ基準適合住宅としての減税措置を受けるには「証明書」が必要です。
証明書には2種類ありますが設計者や施工者などの協力が必要となります。

  • 建設住宅性能評価書の写し
    登録住宅性能評価機関が発行する証明書で、断熱等性能等級が5以上および一次エネルギー消費量等級が4以上と証明されているもの
  • 住宅省エネルギー性能証明書
    登録住宅性能評価機関が発行するほか建築士も発行でき、対象となる住宅の設計や工事監理を行った建築士による証明で、断熱等性能等級が5以上および一次エネルギー消費量等級が4以上と証明されているもの

カーボンニュートラルの実現に向けて

日本は「2050年にカーボンニュートラル」を目指すと宣言しています。目的は温室効果ガスの排出をゼロにし温暖化がすすむ地球環境の課題を解消し、持続可能性の高い社会の実現です。

日本におけるエネルギー消費量は2005年頃をピークとして減少傾向にあります。全体量の減少が進んでいるものの、全体に占めるシェアが高まっているのが「業務部門」と「家庭部門」です。

「産業部門」は大幅に減少し「運輸部門」も減少している中、業務部門と家庭部門の増加では「省エネルギー」に対する取組みが進んでいないと見られています。

2024年からの住宅ローン控除の制度改正は、住宅建築の分野での省エネに対する取組みに弾みを付けようとするものと言えるでしょう。

【参考情報】

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