サブリース契約を規制する「賃貸住宅管理適正化法」が成立
サブリース契約を規制する目的の「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立し、サブリース業者をはじめ賃貸管理会社はこの法律の適用を受けます。これまで管轄する法律がなかった賃貸管理業は、今後厳格な規制を受けることになります。

アパートに空室があっても一定額の家賃収入が見込める「サブリース」は、普及してすでに20年ほど経ちます。サブリース方式による一括借上げ契約期間は、長いものだと10年~30年契約のケースもあり、一定家賃が30年間保証される契約ですが、契約書には必ず「賃料減額」に関するルールを定めているのが一般的です。

サブリース方式により契約を交わしたオーナーのなかには、賃料減額についての取決めを覚えておらず、数年後にサブリース業者からの減額請求に慌ててしまうこともあるようです。慌てるだけならまだましで、なかにはトラブルとなり、契約解除の憂き目にあうケースもすくなくありません。

原因は契約時の説明不足や認識違いなどがありそうです。

このようなトラブルを防止する目的で「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(略称:賃貸住宅管理適正化法)」が、2020年6月12日成立しました。施行は2回に分かれ、サブリースに関する部分は2020年12月、受託管理方式・管理業者登録は2021年6月の予定になっています。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の施行

賃貸住宅管理適正化法は第1章から第5章と附則がつく構成になっています。
第1章は総則であり、第2章が賃貸住宅管理業についての規定、第3章がサブリースについての規定、第4章は雑則。第5章は罰則という構成です。

第3章が2020年12月施行の「特定賃貸借契約の適正化のための措置等」であり、第2章が2021年6月施行になります。

サブリースに関わる問題が社会問題となっている事情からか、第3章が先行施行になったのではと推測できます。

第2章に関係する「賃貸管理業の登録制度」はすでに創設されていますが、設置が義務付けされる「業務管理者」には「賃貸不動産経営管理士」が就くことになります。賃貸不動産経営管理士は現在も資格制度があり約5万名の有資格者がいますが、賃貸住宅管理適正化法の成立により国家資格となります。

そのため国家資格に変更する手続きもあり、2021年6月からの施行になったと考えられます。

サブリース業者に対する規制

賃貸住宅管理適正化法の狙いは、サブリース業者およびサブリース方式のビジネスモデルへの規制です。そのためにはサブリース業者を「賃貸管理業者」と定義し、賃貸住宅管理適正化法の枠組みのなかで監督しようとするものです。

賃貸管理業とは次の2種類の契約にもとづき、賃貸住宅の管理をおこなう業務をいいます。

  1. 賃貸人(賃貸住宅所有者)からの委託を受け、物件の管理と入居者の管理をおこなう受託管理業務
  2. 賃貸人(賃貸住宅所有者)と賃貸借契約と同時に管理受託契約を締結し、転貸事業をおこなうサブリース

一般にいわれる管理会社は「受託管理業者」に該当し、サブリース業者は2番目の業者に該当します。

どちらの業者も国土交通大臣の登録が必要であり、登録の有効期間は5年間となります。

サブリース業者は次に掲げる具体的な規制を受けるようになります。

  1. 規制を受ける業者はサブリース事業をおこなう「特定転貸事業者」と、サブリース方式による賃貸経営を勧誘する者(具体的には建築会社やハウスメーカーなど)
  2. サブリース事業の広告において誇大表現を禁止
  3. サブリース事業の勧誘における不当行為
  4. 賃貸人(賃貸住宅所有者)との賃貸借契約において、契約前に重要事項を書面またはメールなどにより説明する義務
  5. 上記賃貸借契約が締結されたときは、第31条で定める事項を書面にして交付する
  6. サブリース業者の業務や財産状況を記載した書類を、営業所や事務所に備え置き、相手方がいつでも閲覧できるようにする

サブリースのトラブル防止効果

サブリース業者への法規制は不当なサブリース方式への勧誘を防ぎ、賃貸借契約を締結した賃貸人の保護を図り、特定転貸事業(サブリース事業)の適正な運営を図ろうするものです。

5年ごとの登録更新は監督官庁による定期的なチェックを可能にし、サブリース業者の経営状況を賃貸人も確認でき、サブリース業者の倒産などトラブルに巻き込まれることを防ぐ効果がある程度ありそうです。

さらに賃貸住宅管理適正化法による業者規制の切り札的な規定が第35条にあります。

  1. 何人も、特定賃貸借契約の適正化を図るため必要があると認めるときは、国土交通大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
  2. 国土交通大臣は、前項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。

つまり『何人も、・・・』とあるように、サブリース業者や勧誘者に不当な行為があった場合、誰でも国土交通大臣に申出し、法にもとづいた措置をさせることができます。

具体的な措置の内容は「1年以内の業務停止命令」が可能になるのです。

管理会社に対する規制

賃貸住宅管理適正化法はサブリース会社を含む、賃貸管理業を営む事業者を規制する法律です。
サブリース業者は前述の「特定転貸事業者」以外に「賃貸管理業者」としての規制も受けます。

賃貸管理会社は国土交通大臣の登録を受けなけばなりませんが、登録義務は管理戸数が200戸以上の管理会社となるもようです。また以下のような登録拒否に該当する条件があると登録はできません。

  1. 心身の故障により賃貸住宅管理業を的確に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの
  2. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. この法律の規定により登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
  4. 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
  5. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  6. 賃貸住宅管理業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として国土交通省令で定めるもの
  7. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの
  8. 法人であって、その役員のうち上記第1号から第6号までのいずれかに該当する者があるもの
  9. 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  10. 賃貸住宅管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者
  11. 営業所又は事務所ごとに業務管理者を確実に選任すると認められない者

管理会社の義務

賃貸住宅管理適正化法では管理会社がおこなうべき10の義務や禁止行為を定めています。

  1. 名義貸しの禁止
  2. 賃貸不動産経営管理士など有資格者である業務管理者を、事務所ごと営業所ごとに選任する
  3. 管理受託契約の締結前に重要事項説明書を交付し説明し、契約を締結した時には契約内容を記載した書面を交付する
  4. 管理業務を別の会社に再委託してはならない
  5. 家賃、敷金、共益費などを管理会社の財産とは別に管理しなければならない
  6. 従業員証明書の携帯
  7. 業務を記録した帳簿の備え付け
  8. 管理業者の標識を掲示
  9. 委託者への定期報告
  10. 守秘義務

特に家賃等の分別管理は、万が一管理会社が倒産するなどの場合、賃貸人の財産である家賃等を保全することが目的です。経営状態の悪い管理会社は、賃貸人の財産を資金繰りに使うようなこともあり、そのような行為を未然に防ぐこともできるのです。

参考サイト 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 – 「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」成立