雨漏れの修繕はどこまで要求できるのか「瑕疵保険」の免責事由を検証してみた

住宅瑕疵担保履行法が成立して10年が経過しました。
2020年には改正民法が施行され、住宅に関わる瑕疵責任についての考え方も若干変化が出て来ます。
住宅で多いと思われる重大な瑕疵である“雨漏れ”に関して、施主や住宅購入者の立場から、建設業者や販売した不動産会社に対し、どこまで補修についての要求ができるのか、検証してみました。

雨漏れは重大な欠陥であるという認識が無かった建築家

まず最初に、建築界においては「雨漏れに対して寛容な風潮」があったということをお話ししたい思います。

近代建築の三大巨匠の一人“フランク・ロイド・ライト”の逸話です。

ライトが設計した住宅である日雨漏れがあり、施主がライトにクレームを述べると、ライトは「雨漏れするところに座ってないで移動するように」と言ったとか言わなかったとか、こんな話を随分前、まだ建築の学生だった頃に聞いたものです。

ライトにとって雨漏れは大した問題では無かったのかも知れません。

しかし住まい手にとっては、どんな高名な建築家がデザインしたとしても、雨漏れがするような住宅は造ってほしく無いものです。

雨漏れがおきる原因は、水は高い所から低い所へ流れるという物理的な原理と、毛細管現象と言うこれも物理的な現象を無視した納まり(建築の細部のディティール)によるもので

  1. キチンと施工すれば防げる
  2. キチンと施工しても防げない

このように二通りのものがあります。

1番目は施工ミスなのですが2番目は設計ミスです。

ライトの設計した住宅がどちらのミスなのかは分かりませんが、例え設計ミスであっても設計者は施行者の責任にしてしまいますので、雨漏れは施工ミスが原因だと一般的に思われていますが、私たち建築の専門家から見ると“設計ミス”と思われる事例が割合多いものです。

雨漏れは大したことのないことという風潮がもしかしたら、今でもあるのかも知れません。

雨漏れは重大な瑕疵

雨漏れが重大な瑕疵であると法律上規定したのが「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(略称:品確法)です。

重大な瑕疵なので、構造耐力上主要な部分と共に10年保証の対象になっています。
部位としては屋根と外壁の仕上材及び下地材と開口部が対象です。

10年保証は義務となっており、契約書で10年未満の瑕疵担保責任期間の特約をすることは無効になります。

新築住宅は引き渡し後10年間の期間に雨漏れがあった場合、建設した施工業者や販売した不動産会社は無償で補修したり、損害賠償に応じたり、場合によっては売買契約を解除して住宅を買戻すことを求められることになります。

*ただし新築住宅とは完成後1年以内で未入居の住宅をいいますので、売残りの建売住宅で1年経過した物件は対象外です。

保険金を支払わない場合の免責事由に注意

建設業者や不動産会社は瑕疵担保責任を履行するに必要な、金銭的な保証をしなければなりません。
その為の方法として二つあります。

  • 保証金を供託する
  • 瑕疵担保責任保険契約を保険会社と締結する

大手ハウスメーカー以外は“瑕疵担保責任保険”を利用しています。

雨漏れがあった場合には、まず瑕疵に該当するかが、無料での補修請求が出来るかどうかになります。

瑕疵に該当するかどうかを判断するのに、瑕疵担保責任保険の「保険のしおり」が参考になります。
保険のしおりには「保険金が支払いできない免責事由」という項目があります。

免責事由に該当する場合は保険会社が瑕疵と認めません。
どのような事由があるか見てみましょう。

  1. 住宅事業者(建設会社や不動産会社)、住宅取得者の故意または重大な過失
  2. 対象住宅の著しい不適正利用または不適切な維持管理
  3. 洪水、台風、暴風、暴風雨、竜巻、豪雨等の自然現象または火災、落雷、爆発、暴動等の偶然または外来の事由または重量車両、鉄道等の通行による振動等
  4. 土地の沈下・隆起・移動・軟弱化・土砂崩れ、土地造成工事の瑕疵
  5. 地震もしくは噴火またはこれらによっておこる津波
  6. 対象住宅の虫食い もしくはねずみ食い、対象住宅の性質による結露または瑕疵によらない対象住宅の自然劣化
  7. 瑕疵に起因して生じた傷害、疾病、死亡、後遺障害や対象住宅以外の財物の滅失もしくは き損または対象住宅や財物の使用の阻害
  8. 保険会社または住宅事業者が不適当であると指摘した設計・施工方法や資材等の瑕疵
  9. 対象住宅に関する請負契約または売買契約締結時に実用化されていた技術では予防することが不可能な現象
  10. 対象住宅引渡し後の増築・改築・修補の工事、またはそれらの工事部分の瑕疵
  11. 対象住宅に採用された工法に伴い、通常生じうる雨水の浸入・すきま・たわみ等の事象
  12. 戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変または暴動
  13. 核燃料物質( 使用済燃料を含みます。)もしくは核燃料物質によって汚染された物( 原子核分裂生成物を含みます。)の放射性、爆発性その他の有害な特性またはこれらの特性
  14. 石綿もしくはその代替物質またはそれらを含む製品が有する発がん性その他の有害な特性

*瑕疵担保責任保険会社JIOの保険のしおりを参考に一部編集しています。

以上が保険会社が瑕疵と認めない事由になりますが、これらに該当しない雨漏れであれば補修請求ができると考えていいでしょう。

保険が適用される雨漏れであれば、建設会社や不動産会社はあまり抵抗なく補修すると思いますが、問題は保険会社が保険金を支払わないとしているケースの中に、施工ミスと思われるものが含まれていることです。

保険が適用されないとなると、業者としては補修費用を負担しなければなりません。施主や住宅取得者からの補修請求に素直に応じるわけにもいきません。
そうなると、直す直さないのトラブルになり、最終的には裁判にということもあります。
そのようなトラブルになりそうな“免責事由”を見ていきたいと思います。

住宅事業者の故意または過失
きちんと施工したつもりが思わぬミスがあったという場合は、保険適用になると思いますが、いわゆる“手抜き”工事によるものと判明した場合は、この免責事由により保険適用が出来ない可能性があります。
洪水、台風、暴風、暴風雨、竜巻、豪雨等の自然現象
通常の雨では無く、横なぐりの雨や雪の場合には“吹込み”という現象によって、小屋裏に雨や雪が入ることがあります。これも免責の可能性があります。
対象住宅に採用された工法に伴い、通常生じうる雨水の浸入・すきま・たわみ等の事象
施工方法や細部の納まりによっては「雨漏れがあっても不思議じゃない」というケースがあります。この場合も保険が適用されない可能性が高いです。

雨漏れは重大な欠陥です。住宅としての基本的な性能を満たしていないのですが、その原因や状況によっては、業者とトラブルになることもあります。
業者選定や物件の選定など「保証があるから安心」とも言えないのが現実です。
慎重に検討する姿勢が大切です。



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