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負動産を拒否できる相続放棄制度が生まれるかもしれない

地租改正が行われ土地の私有制度が始まったのが1873年のことです。およそ150年ほど前のことでした。
昨年は120年ぶりの民法改正が行われ2020年には新しい民法が施行されます。
今度は150年ぶりに、土地所有権の考え方が変わりそうです。

相続放棄したいのにできなかった不動産

土地の私有制が認められて約150年です。先祖代々・・・と言ってもそんなに古い話では無いのですが、少子化が進み人口減社会になるといろんなところに変化が起きます。

“財産”とか“不動産”とか貰えるものならどんなものでも有難いものでしたが、“負動産”と呼ばれるような不動産が現実のものになってきた今日、政府は不動産の相続に関する法的な検討に着手しました。

相続放棄後の管理責任

相続放棄は家庭裁判所に“相続放棄の申述書”を相続開始から3か月以内に提出します。
被相続人が所有していた財産そして負債の相続を放棄するのですが、放棄した後でも財産の管理責任が不動産の場合は残ります。

民法940条には「相続の放棄をした者による管理」という条文があります。

相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

相続放棄をしても、他の相続人が相続財産の管理を始めるまでは、財産の管理を継続しなければならないことになっています。

不動産を相続しない理由には次のようなことが考えられます。

  1. 不動産には資産価値があるが、それ以上に負債がある
  2. 相続しても負担が増えるだけの資産価値のない不動産

1番目の場合は債権者がいるので、債権者の申立てによって家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任することが出来ます。
相続財産管理人は財産を処分したりして債務の清算を行い、もし残った財産があればそれは国庫に帰属します。そのため、誰も相続したくなかった不動産は負債の清算に処分されて、相続放棄した相続人が煩わしい思いをすることはありません。

問題は2番目です。
資産価値がない不動産は処分もできません。
「相続財産管理人」を選任する理由も無く、誰も相続してくれずに中途半端な状態になり、誰も相続しないので相続放棄した人たちが財産の管理をしなければならなくなります。

不動産は相続しないが管理はしなければならない!

所有者が不明な空地・空家問題

不動産の所有権は法務局に登記することによって正式なものになります。
相続によって所有権が移動したときは“所有権移転登記”を行うのですが、登記そのものは任意であって義務ではありません。

被相続人が亡くなり、主有していた不動産を相続する人が決まっている場合でも、登記はいつでもかまわないことになっています。
おじいちゃんが亡くなり、相続することになっていた父親も相続登記する前に亡くなり、代が替わって孫が相続することもあります。

相続の登記が義務では無いために困ってしまうことが現実に起きています。

荒れ放題になっている空地や空家の管理をきちんとしてもらおうと、近隣の人が所有者を調べてみたが亡くなっており、現在の所有者が不明で連絡が取れない。

2015年に空家法が施行され、今後増えると予想される「空家問題」ですが、正確な所有者が分かれば対策は立てやすいものです。所有者が分からなくなってしまう現在の登記制度を改善しなければ空家対策は進まないと考えられます。

相続放棄を法的に認める制度とは

具体的にどのような制度になるかは、今後の検討によるのだと思いますが、ニュースによる情報から見ると次のようなものかと思われます。

  • 相続放棄を法律上明文化し、相続放棄した不動産は短期間で国庫に帰属する
  • 一定期間を過ぎて相続登記をしない不動産は相続放棄とみなし国庫に帰属する
  • 被相続人が居住していた自治体との連携を図り、相続が開始されたときに法定相続人情報を登記簿に記載する
  • 相続人捜索に関する調査権限を法務局に与え、捜索期間の短縮を図る

参照 》》 土地所有権の放棄制度検討 政府、相続登記を義務化

マイナンバーとのリンクを行いながら、各個人の3親等以内の親族のネットワークがデータベース化され、相続が発生した時点で不動産の管理責任義務を保有する人物を簡単に特定されるようになりそうです。

負動産から逃れることができそうですが、個人情報がかなり深いレベルまで管理される恐ろしい社会の到来~そんな気もしますね。

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