電池による火災事故と火災を防ぐ為の電池の知識

大阪府吹田市にあるホームセンター「コーナン千里山田店」がほぼ全焼した火災。原因はサービスカウンターに保管してあった“使用済みボタン電池”からの発火でした。電池は扱い方を間違えると大変危険なもので、全国各地の自治体のホームページでも注意喚起をしています。ここでは電池の危険性を改めて自覚する為に、電池が原因の火災事例と取り扱い注意点をまとめました。

乾電池の使い方と捨てる時の注意点

電池による発火や火災事故というと“リチウムイオン電池”がよく話題になります。
「コーナン千里山田店」の火災はボタン型電池が原因でしたが、リチウムイオン電池とは種類が違います。
リチウムイオン電池は正式には“リチウムイオン二次電池”のことで、充電と放電を繰り返し行うことができる電池です。

ボタン型電池は一次電池、つまり放電し終わると使えないよくある乾電池で、種類は次のようなものがあります。

  • 円筒型電池
    • マンガン乾電池
    • アルカリ乾電池
    • ニッケル乾電池
    • リチウム乾電池
  • ボタン型電池
    • 酸化銀電池
    • 水銀電池
    • 二酸化マンガンリチウム電池
    • フッ化黒鉛リチウム電池
    • 酸化銅リチウム電池
    • アルカリ電池
    • 空気亜鉛電池
    • ボルタ電池

乾電池は使用すると放電し、マイナス極側の金属がすべて溶けてしまうと放電はできません。
しかし完全に放電するまで使用することはあまり無く、途中で電池を交換するのが一般的です。

使って古くなったたくさんの電池をビニール袋に入れて保管しておくと、電池のプラス極とマイナス極が接触して、ショートすることがあります。
ショートすると火花が出ることはご存知のことです。

ショートして火花が出た部分に可燃物があれば着火し、やがて火災の原因になってしまいます。
使った乾電池は、プラス側とマイナス側の電極部分にビニールテープを貼り、絶縁処理をした状態にして処分するのが大切です。
乾電池同士だけでなく、乾電池の両極の間に金属片が接触してもショートします。
裸の乾電池とクリップや鍵、コイン、缶などの金属をいっしょに袋に入れておくのも、たいへん危険な行為です。

乾電池には上に書いたようにたくさんの種類があります。
乾電池の中の残留金属量によって電圧が異なります。古い乾電池と新しい乾電池を一緒に使用すると過放電状態になり、発熱や液漏れというトラブルがおきます。
複数の乾電池を使う機器には、同じメーカーの同じ種類の新品を使うようにします。

乾電池を機器に装てんする時もプラスとマイナスの方向を間違わずに気をつけます。間違うと作動しないばかりか、そのまま放置すると充電状態になり発熱します。

リチウムイオン電池の火災事故と使用上の注意点

ここからはよく話題になる“リチウムイオン電池”について。

リチウムイオン電池は先に書いたように二次電池、つまり充電するとくり返し使える電池です。
携帯電話やノートパソコンに主に使用されていますが、掃除機にもかなり使われるようになりました。

使用する機器が増えるに従い火災事故も多くなっています。
下は2013年度から現在(2018年8月1日までのデータ)までの事故発生件数のグラフです。

リチウムイオン電池の事故

2017年度では73.5%がモバイル製品の事故です。
さらにモバイル製品のみを見てみると次のグラフです。

モバイル火災

モバイルバッテリーでの事故がクローズアップされますが、ノートパソコンの事故も実は多いことが分かります。
つづいて事故の原因ですが、次のグラフを見ると分かるように、原因のはっきりしていない事故が半分以上であり、発生状況では充電中が多いことが、製品の信頼性に問題があるように思えます。

モバイル事故原因

火災事故

*掲載したグラフは独立行政法人製品評価技術基盤機構からの引用です。

リチウムイオン電池について、東京消防庁から次のような注意喚起がされています。

火災発生状況

  1. 充電池の仕様に応じた設定で充電しなかったため、過充電となり出火した。
  2. 専用(対応型)充電器を使用しなかったため、過充電となり出火した。
  3. 廃棄する際に分解していて、外力により損傷し出火した。
  4. スマートフォンのイヤホンジャックの清掃や、電池の交換修理をする際に、鋭利なものを差し込んだため内蔵充電池が損傷し出火した。
  5. 社告・リコール品を使用して出火した。
  6. 経年使用による劣化で出火した。
  7. 電池、制御装置等、製品の不具合により出火した。

火災を防ぐために

  1. 各機器を購入した時に付属されている充電器やメーカー指定の物を使用しましょう。
  2. 接続部が合致するからといって、充電電圧を確認せずに使用するのは止めましょう。
  3. 膨張、異音、異臭など異常が生じたものを使用するのは止めましょう。
  4. 充電が最後までできない、使用時間が短くなった、充電中に熱くなるなどの異常があった際には使用を止めて、メーカーや販売店に相談してください。
  5. 廃棄の際には、事業団体が回収するリサイクルへ出しましょう。

リチウムイオン電池などのリサイクルが義務化

電池は使用の仕方によっては火災事故につながる危険なものです。
その特性を理解して使用しなければなりません。
最後に、充電式電池のリサイクルについてお伝えします。

不要になったリチウムイオン電池やニカド電池そしてニッケル水素電池、これらの小型充電式電池のリサイクルが義務付けられています。
リサイクルの必要な充電式電池には下の画像のマークが付いています。

バッテリーリサイクル

小型充電式電池を使用している製品には次のようなものがあります。

  • コードレス掃除機
  • 電動歯ブラシ
  • シェーバー
  • 電動アシスト自転車
  • 携帯ゲーム機
  • デジタルカメラ
  • ビデオカメラ
  • ポータブルカーナビ
  • ヘッドホン
  • コードレスホン
  • トランシーバー
  • アマチュア無線機
  • PDA
  • ノートパソコン
  • ファクシミリ
  • モバイルバッテリー(本体ごと)
  • 血圧計
  • 電気マッサージ器

以上のような家庭で使っている機器のバッテリー部分を抜き出して、端子部にビニールテープを巻き付けて、リサイクル協力拠点に持ち込みます。
但し、モバイルバッテリーは本体ごとです。

近くのリサイクル協力拠点をリサイクル協力拠点一覧から探すことができます。

*スマホ・携帯電話のバッテリーは、本体ごと携帯電話ショップで回収します。

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