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売主の売却権限を確認する為の調査方法と騙されない為の対策 - MyhomeData

売主の売却権限を確認する為の調査方法と騙されない為の対策

積水ハウスが不動産取引の詐欺に遭い、50億円もの大金を騙し取られたニュースは、まだ記憶に新しいものですが、不動産売買に関わる者にとって、売主と称する人が本当の売主なのか、本当だとしても売却権限のある人なのか、あるいは代理人と称する人が本当の代理人なのか、売主の売却権限の確認は媒介業者の重要な仕事です。ここでは売却権限の確認と調査方法について説明します。

売主本人確認に併せて売却権限の確認が必要

本人であることは確認できても売却権限の無いケースや、本人だろうと思われるが確認手段が限られるなどにより、「たぶん大丈夫だろう」と取引を進めてしまい、取り返しのつかないことになることもあります。
本人確認と同時に売却権限の確認も大切です。

所有者本人に売却権限が無いかもしれない時

売主=所有者に売却権限つまり売買契約を締結する権限がない場合があります。

  • 未成年
  • 制限行為能力者
    • 成年被後見人
    • 被保佐人
    • 被補助人

所有者がこれらに該当する場合は、売買契約そのものが無効です。
売買契約にもとづき所有権移転されたとしても、契約そのものが無効になるので原状に復して元に戻さなければなりません。

では所有者がこれらに該当するかどうかどのように確認したらよいのでしょう。

売主との面接時に確認
本人確認書類としての運転免許証やマイナンバーカードなどは、契約時には必ずコピーを取るので、最初から確認させてもらうのは失礼でも何でもないので、遠慮なく媒介契約の初期の時点で確認する方がよいでしょう。
本人確認書類で未成年か成年かは確認できます。

会話の中で普通に会話が成り立つかも確認できます。
高齢者の場合、認知機能に疑問を感じるような時が問題です。

「制限行為能力者」の可能性がある場合
家族の方に、成年被後見人、被保佐人、被補助人いずれかの登記の有無を確認して、不明な場合には成年後見登記に関する証明書の交付申請をしてもらいます。

すでに登記されていれば、成年後見人等と売買に関する協議を進めていけばよいわけです。
もしも「制限行為能力者」ではないが、客観的に意思能力に疑問を感じる場合は、家族の方に「後見開始の審判」を受けるよう勧めることも必要です。

媒介業者が「意思能力に問題ない」と判断しても、所有権移転登記の時点で司法書士が「意思能力に問題あり」という判断をすることもあります。
また、司法書士が所有権移転登記を完了させ、引渡しが無事終了したと思われる物件であっても、後に売主が成年被後見人となり、成年後見人が“売買契約の無効”を求めた裁判において、「後見開始の審判」前の契約であっても遡って契約を無効とした判例もあります。
参照 》》 認知症により意思能力が無かったとして転売契約の無効と所有権移転登記の抹消登記が認められた事例

登記されていないことの証明申請と登記事項証明申請は東京法務局

売主本人が契約や引渡しにも現れず代理人が来た

売主の家族と称する人が媒介契約から売買契約そして引渡しまで、売主本人に代わり当事者となるケースがあります。
代理人であれば委任状が必要ですが、委任状があればよいというものでは無く、売主に意思能力が無い場合には、委任状そのものが無効になります。
*代理人に対する代理権限の付与を行った時点で、売主に意思能力があったと認められる場合は有効です。

委任状の日付が新しい場合は、売主との面接により意思能力について確認をすることが必要です。
委任状の日付が古い場合や売主に面接できない場合、合理的な理由が無いと思われる時は、他の家族の方から話を聞くなどして慎重に進めることが必要で、場合によっては媒介業務の中断を検討する必要があると思います。

また、委任状には委任事項が必ず記載されていることが必要、白紙委任状は危険です

共有者全員が揃わず委任状も無い状態で契約

親から相続を受け兄弟姉妹5人共有の不動産を売却するといったこともあります。
兄弟姉妹5人の住所はバラバラで一番遠くに住んでいる人は、北海道と沖縄などということもあるかも知れません。
売買契約書は持ち回り(郵送)で記名押印してもらい、引渡しには代表者が書類を持参し、所有権移転に係わる書類への記名押印は、司法書士が郵送で事前に行い、引渡し当日、代表者が記名押印して必要書類一式を司法書士に渡すのが、このような場合の一般的なパターンです。

この場合、共有者の中に「制限行為能力者」がいる場合の確認が取れません。
司法書士も厳密な意味で本人確認ができるかどうか疑問です。

書類の郵送と電話による本人確認を行いますが、後で書く「なりすまし」という場合もある可能性があります。

万が一を考え、媒介業者としては出来るだけの“本人確認”を行います。

  1. 事前に印鑑証明書と運転免許証の写しなどを郵送してもらうが、郵送時には電話番号を書いた手書きの添え状を同封してもらい、簡易書留で送ってもらう
  2. 上の書類が届いたら電話をして会話が普通にできるか確認する
  3. 契約時に代理人になる代表者宛の委任状用紙を郵送し、記名押印のうえ返送してもらう
  4. 上の委任状が届いたら、印鑑の照合と筆跡を確認する
  5. 引渡し時の所有権移転に関する書類の記名押印との照合を行う

ここまでの本人確認の手順をやっておけばいいのではと思いますが、これでもまだ不安が残るようであれば、共有者全員を事前に訪問し、面接の上本人確認するしかないと思います。

売主本人になりすましていた

売主本人になりすます、冒頭に書いた積水ハウスの地面師詐欺事件がそうであったように、本人になりすまして売買代金などを騙し取るのは犯罪です。
媒介業者がこのような事件に巻き込まれた場合、必ず問題になるのが本人確認義務です。
また本人確認義務は媒介業者ばかりでなく、買主にも問われる場合があります。

以下は不動産売買のときに気をつけること~なりすまし・本人確認|不動産売買の法律アドバイス|三井住友トラスト不動産からの引用ですが、「なりすまし」の被害者である買主が、契約の立会人として依頼した弁護士に対し損害賠償請求訴訟を起こし、裁判所は買主本人の“過失相殺”を認定した民事裁判の事例です。

契約当事者は、自らの責任において、契約の相手方と名乗る者が真実の相手方であるかどうかの本人確認をすべきであり、契約の相手方と名乗る者から契約の立会人となること及び本人確認情報の作成を依頼された者がおり、それが弁護士であったとしても、原告(買主)自らが被告(弁護士)に本人確認を依頼したものではないから、原告本人(買主)においても本人確認をすべきであることについて何ら変わることはない。

以上が判決で述べられた一部ですが、買主が相手売主の本人確認をしなかったことは“過失”であるとされたわけです。

民事裁判では「騙される方も悪い」となります

積水ハウスの事件のように巨額の取引になればなるほど慎重に進める必要があり、本人確認は、提出された本人確認書類が偽造されたものかもしれないという疑いを持って念入りに確認するが大切です。

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