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検査済証のない物件の説明を省略すると説明義務違反に

売買する取引物件の中には「検査済証」の無い物件がたまにあります。法的には建築物は「建築確認申請」により「確認済証」を交付され、工事完了時には完了検査を受けて「検査済証」の交付を受けないと使用してはならないことになっています。
使用してはならない建物を使用していることが許されているのが、ちょっと不思議な気がしますが、建築行政にファジーな部分があるのは事実です。
重要事項説明において必ず説明しなければならない事項では無いのですが、平成30年4月から施行された改正宅建業法により、既存住宅状況調査という項目が増えて「確認済証」と「検査済証」についての記述がされるようになりました。

検査済証が発行されていない場合は、検査済証に関する年月日や番号が空欄になるので「検査済証」が発行されていないことは分かるのですが、改めて説明をすることは無く『検査済証はありません』と簡単に終わらせていることが多いと思います。しかし買主が購入後に計画する物件の利用の仕方によっては、簡単な説明では済まないケースもあるので、「検査済証」の無い物件について注意したいポイントをまとめました。

検査済証が無いために建築制限を受ける内容を説明しないと説明義務違反に問われる

「検査済証」が無いと増改築や用途変更による「建築確認申請」が原則できません。
既存の状態で買主が建物を利用することが前提で取引を行うにしても、将来どのような計画が持ち上がるか売買時には予測できません。
また、検査済証の無い建物は本来は建築基準法に抵触する物件です、より丁寧に買主に対し説明することが必要と思います。

検査済証が必要になる建築行為

既存の建物が新築時に交付されている“検査済証”の提出が必要となるのは、建築確認申請が義務付けされている建築行為です。
逆に言うと建築確認申請の必要が無い建築行為は“検査済証”が無くてもかまわないと言えます。

では、建築確認申請の必要が無い建築行為とはどのようなものか。

  • 防火地域・準防火地域以外の地域や区域で行う10㎡以内の増築・改築・移転工事
  • 都市計画区域外で行う規模の小さな建築(特殊建築物及び大規模建築物以外)
  • 類似の用途への用途変更

これ以外の建築行為はすべて建築確認が必要です。

ここで気になるのが類似の用途への用途変更です。
つまり似たような用途への変更は確認申請が必要ないのですが、具体的に“似たような用途”とは以下のように11のグループに分かれており、同じグループ内での用途変更は確認が必要ありません。

  1. 劇場、映画館、演芸場
  2. 公会堂、集会場
  3. 診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等
  4. ホテル、旅館
  5. 下宿、寄宿舎
  6. 博物館、美術館、図書館
  7. 体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場
  8. 百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
  9. キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー
  10. 待合、料理店
  11. 映画スタジオ、テレビスタジオ

店舗や住宅を介護施設に変更するとか、共同住宅をホテルに変更するなどの用途変更は確認申請が必要です。

検査済証が無くても建築確認を申請できる方法

検査済証が無くても建築確認申請が出来る方法は実はあります。

既存建物を調査し、新築時の建築基準法に適合していたことを明らかにする「法適合状況調査報告書」を専門家に作成してもらいます。
これに加えて

  • 既存建物の図面(平面図・配置図)
  • 新築(増築も含めた)時期が分かる書類(建築確認証明書・登記事項証明書など)
  • 法適合状況が分かる図面

これらの「既存不適格調書」を添付して建築確認申請が可能です。
ただし、「法適合状況調査報告書」を作成するにあたっては、新たに設計図書や構造計算書を作成する必要がある場合もあり、それなりに費用がかかります。

説明義務違反にならない説明

検査済証が無い場合にどのような説明をするのがよいかを考えてみます。

買主が将来計画することについて実現できない可能性があることを説明しておかなければなりません。
ポイントは以下の3つです。

  1. 増改築や用途変更に際し「法適合状況調査報告書」の作成が必要になる場合がある
  2. 用途変更の場合、内容によって構造上主要な部分の補強が必要になる場合がある
  3. 法適合状況調査を行った結果、違法建築であることが判明し、違法部分の是正が必要になる可能性がある

*2番目は「検査済証」の有無にかかわらず可能性があることですが、このこともついでに説明した方がよいと思います。

文章を例示すると次のようなものかと思います。

本契約の建物は新築時に完了検査を受けておらず、検査済証が発行されておりません。増改築や用途変更などの建築行為に際して、建築基準法に準拠した調査や法に適合させる工事が必要になる場合があります。

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