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平成30年6月27日公布の改正建築基準法は令和元年9月25日から施行です

令和元年に施行される改正建築基準法は9月25日から、住宅に関係する改正点をまとめました。注目点は木造建築物の防火性の評価と、密集市街地での防火性能向上により建蔽率アップ。既存の住宅や共同住宅をグループホームに用途変更する条件も緩和された。

今回施行される改正の大きな項目は以下です。

  1. 建築物・市街地の安全性の確保
  2. 既存建築ストックの活用
  3. 木造建築物の整備の推進
  4. その他

このうち④その他は老人ホームや仮設建築物についてのことなので、①~③について解説します。

参照 》 「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号) 」の概要
参照 》 国土交通省のより詳しい解説文書「平成30年建築基準法改正の概要

建築物・市街地の安全性の確保

平成28年12月に発生した糸魚川市大規模火災や平成29年2月に発生した埼玉県三芳町倉庫火災などの大規模火災による被害の甚大さにより、密集市街地での建築物の安全性確保が課題として大きくなったわけです。

建築物・市街地の安全性の確保する為の法律の概要は3つ。

  • 維持保全計画の作成等が求められる建築物の範囲を拡大
  • 既存不適格建築物の所有者等に対する特定行政庁による指導及び助言の創設
  • 防火地域・準防火地域内において、延焼防止性能の高い建築物の建蔽率を10%緩和

「維持保全計画の作成等が求められる建築物の範囲を拡大」は大規模倉庫等を想定したものなので、住宅等には関係ないようですので省きます。

既存不適格建築物の所有者等に対する特定行政庁による指導及び助言の創設
「既存不適格建築物の所有者等に対する特定行政庁による指導及び助言の創設」については、マンション等の共同住宅が係りますので、参考資料を紹介しながら解説します。

まず現状の法律に関して、平成17年6月1日に基準法が改正され、既存不適格建築物で損傷、腐食、劣化が進み放置すると危険な建築物について、必要な措置をとることを勧告できる制度ができました。
参照 》 既存不適格建築物に係る
勧告・是正命令制度に関するガイドライン

具体的な内容は既存不適格建築物に係る是正命令制度に関するガイドライン 平成27年5月国土交通省が詳しいです。

今回の改正では『これまでの命令・勧告に加えて指導・助言』ができるようになります。
この改正により既存不適格建築物へ行政が関与する範囲が広がり、危険な建築物の是正と周辺の安全性確保を狙いとしています。

防火地域・準防火地域内において、延焼防止性能の高い建築物の建蔽率を10%緩和
これまで防火地域に建つ耐火建築物には、建蔽率を10%緩和する規定がありましたが、適用地域を準防火地域にも広げ、さらに準耐火建築物に対しても適用することになります。
目的は密集市街地において延焼防止性能の高い建築物の比率を高め、市街地でも大規模火災を防止することです。

既存建築ストックの活用

空き家の増加が深刻なレベルに達し、用途変更による利活用を促進する為に二つの改正をおこないます。

  • 戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ3階建て以下)を他の用途とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする
  • 用途変更に伴って建築確認が必要となる規模の見直し
戸建住宅等の用途変更では耐火建築物等への変更を不要にする
3階建て戸建住宅をグループホームに用途変更する場合、これまでは耐火構造とすることが必要でしたが、改正により「警報設備や早期避難の確保を前提に耐火構造が不要」になります。
用途変更に伴って建築確認が必要となる規模の見直し
用途変更による建築確認申請は100㎡以上の場合に必要とされていましたが、200㎡以上に緩和されます。

木造建築物の整備の推進

木造建築物の防火性能の向上や地産地消に代表される木材資源の地域振興を図る為、二つの改正をおこないます。

  • 耐火構造等とすべき木造建築物の対象の見直し
  • 耐火構造等とする場合においても木材あらわしを可能にする基準の見直し
耐火構造等とすべき木造建築物の対象の見直し
法第21条では現在「13メートル又は軒の高さが9メートルを超える建築物」としてますが、これが「16メートル又は階数4を超える建築物」に改正されます。
耐火構造等とする場合においても木材あらわしを可能にする基準の見直し
柱や梁などの構造部材の断面を大きなサイズにすると、火災になった場合に部材の中心部は燃え残り、残った断面で必要な許容耐力を保持できる場合は、木材あらわしにできるよう改正されます。

建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)のうち平成30年に施行された部分のまとめ

ここからは今回の改正法(平成30年法律第67号)のうち、すでに施行されている部分の中で住宅に関連する内容をお伝えします。

  • 法24条が廃止されました ⇒ 小規模な特殊建築物に係る異種用途区画の廃止について
  • 接道規制の適用除外に係る手続が合理化されました
    「敷地の周囲に広い空地を有する等の要件を満たす建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、適用しない」が「その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの」は法第43条第1項の接道規制を適用しないことになりました。
  • 老人ホーム等に係る容積率規制の合理化
    共同住宅から老人ホーム等への転用する場合、共用廊下や階段の部分は容積率に算入しないことになりました。
  • 宅配ボックス設置部分に係る容積率規制の合理化
    自動車車庫等と同様に宅配ボックスを設ける部分の床面積は、各階の床面積の合計の1/100を限度に、容積率に算入しないことになりました。

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