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平成に生まれた「土地基本法」は令和に改正され新たな土地の基本理念を定める

平成元年に制定されて30年を経て新時代の幕開けと共に改正される法律があります。
土地の基本理念を定めた「土地基本法」です。
30年間の社会の変化を反映し、令和2年には大改正されることが予想されいます。

バブル経済を象徴するような法律がこの土地基本法。
ここではこの法律の制定された経緯と、改正が必須となった社会的な背景を俯瞰してみようと思います。

土地基本法の基本的な考え方

土地基本法が生まれたのは平成元年、その当時の土地価格と前後の価格推移をまず頭に入れておきます。

土地価格推移
出典:国土交通省
昭和50年~平成30年の土地平均価格と変動率のデータから、平均価格の推移をグラフにしたのが上の図です。

日本の高度成長がピークを迎え成熟期へと移行する頃に、土地価格が上昇しはじめ昭和61年には“バブル景気”に突入しました。
土地価格の値上がりは恐ろしいほどのスピードで進み、いよいよ規制をしなければ手が付けられない状況になりました。

土地基本法の制定と国土利用計画法の改正により、監視区域を指定して区域内の土地取引を届出制として、売買価格に歯止めをかける施策により、平成3年をピークとして土地価格は下落はじめ、まもなくバブル崩壊を迎えてグラフで見る通りの現在の土地価格水準になっています。

監視区域はピーク時(平成5年)には58都道府県・政令市を数えていましたが、現在も監視区域を指定しているのは“東京都小笠原村”のみとなりました。

土地代の急騰を受けて制定された「土地基本法」の役割は、平成と共に終わりを迎えたとも言えるのでしょう。
そして平成から令和へと時代が変わる現在、新たに生まれてきた土地の問題が所有者不明の土地です。

所有者不明の土地に対する法的整備が急がれる

平成31年2月22日、内閣が提出した法律案が国会へ提出されました。
「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律案」

提出の理由は以下のようにされています。

 所有権の登記がない一筆の土地のうち表題部に所有者の氏名又は名称及び住所の全部又は一部が登記されていないものの登記及び管理の適正化を図るため、登記官による表題部に登記すべき所有者の探索及び当該探索の結果に基づく登記並びに当該探索の結果表題部に登記すべき所有者の全部又は一部を特定することができなかったものについての裁判所が選任する管理者による管理等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

ここで取り上げているのは変則型登記の解消というものです。

変則型登記の解消について

変則型登記とは

  • 所有者の住所が記載されていない
  • 所有者が「大字○○」などと地名になっている
  • 所有者が代表者のみ記載があり「外○名」などと記載されている

このような記載しかなく所有者の特定ができない状態の登記を言います。

変則型登記は現在の登記制度がスタートした昭和35年に、旧制度の“土地台帳”の内容がそのまま不動産登記簿に引継がれたことによるもので、法務省の調査によるとおよそ1%の割合で存在するようです。

一方、平成28年度の地籍調査では登記簿上で所有者の所在が確認できない割合は20%程度、探索の結果最終的に所有者の存在が不明な土地は0.41%と言われています。
国土審議会土地政策分科会特別部会中間とりまとめより

この法律が成立すると所有者を特定する作業が行われ、特定できない土地については裁判所が管理者を選任し、管理者が売却などの処分が可能になります。

所有者不明の不動産は今後も増加する

「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律案」は「変則型登記」の解消が目的ですが、少子化が進み、価値の少ない不動産の相続が適正に行われないいわゆる“負動産”化する不動産では、別の意味の所有者不明不動産の増加が予想されます。

土地基本法では「土地」について次のように定めています。

  • 土地は国民のための限られた貴重な資源であり、国民の諸活動にとって不可欠の基盤である
  • 土地は公共の利害に関係する特性を有しており、公共の福祉を優先させなければならない

そのような貴重な土地の活用に、所有者不明の土地増加によって支障が出てくることが予想されます。

国土審議会は2月27日、「平成元年制定時以来の土地基本法改正の方向性を公表します」との発表を行いました。
「土地基本法」の改正ポイントとして以下の3つが盛り込まれています。

  1. 所有者が土地の利用・管理について第一次的な責務を負うこと
  2. 所有者による土地の利用・管理が困難な場合に近隣住民、地域コミュニティ等が行う利用・管理には公益性があり、そのために所有権は制限され得ること
  3. 国、地方公共団体は、利用・管理の促進策やその法的障害の解消のための施策を講じるべきであること

令和2年には土地基本法の改正が見込まれます。
参照国土審議会土地政策分科会特別部会とりまとめの公表

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