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通気層を伝わる火炎によって上階に延焼する現象を防止するには

ロンドンの高層マンション火災に関する続報です。

金属製サイディングの防火性能は表装火災を防げるか
Credit: ロンドンの高層マンション火災のニュースはビックリしました。 大きな被害につながってしまった原因に“表装火災”が指摘されています。 発泡成形された断熱材が裏打ちされたアルミニウム製のパネルが外装材にしようされており、断熱材が高...

外壁を火炎が燃え広がる原因としてもうひとつ指摘されるのが、外装材の裏側に設けられた“通気層”の存在です。
日本では木造住宅の耐久性を高める為に設ける外壁通気層ですが、外断熱の場合でも断熱材と外装材の間に通気層を設けるケースは多くあります。

ロンドンのマンションは、外断熱工法の断熱材の外側に通気層を設け、その外側に芯材に断熱材を裏打ちした金属パネルを貼っていたことが分かりました。
》》欧州の外断熱は通気層なしが基本

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通気層を火炎が広がる危険性

通気層があることによって外部からの類焼が、通気層を通して燃え広がる懸念は以前からあったものです。
外断熱であっても充填断熱であってもこのことは変わりません。

20年以上も前のことですが、某大手ハウスメーカーのモデルハウスの工事で、玄関アプローチ・駐車スペースのアスファルト舗装工事をオープン前日に行っていました。
使用していたガスバーナーの炎が、土台水切りから通気層の中に回り込み、通気層下地に着火して小屋裏まで到達し、全焼した事故がありました。

通気層は木材の乾燥状態を保つ為に、外気を外壁下地に取り入れて、小屋裏や軒裏から排気するまるで“煙突”のような働きをします。下地に使われている木材は充分に乾燥していますので、一端、炎が回り込むとあっという間に燃え広がる恐れがあるものです。

2015年に発表された研究論文があります。
》》住宅の外壁構造と小屋裏延焼の関係に関する検証(その 1)
》》住宅の外壁構造と小屋裏延焼の関係に関する検証(その2)

東京消防庁の消防技術安全所の研究ですが、大変興味深い研究です。

ファイアーストップ設置を勧めているが

建築に係わる技術開発や研究を行っている一般財団法人日本建築センターは、通気層に火炎が広がるのを防ぐ「ファイアーストップ」の設置を勧めています。
ファイアーストップは火を防ぐと同時に、空気の流れも遮断する働きを持ちます。つまり通気層の役割とは矛盾することになり、根本的な解決といえるかどうか疑問があります。
通気層を通して上階に延焼するという現象、これまであまりクローズアップされることはなかったのですが、ロンドンの火災によって大きな課題が表面化したと言えるでしょう。

通気層工法を更に改良する開発が望まれる

通気層工法が提唱されるようになったのが昭和50年代後半です。まもなく40年が経過することになり、木造建築の断熱性能を高めながら、湿気にも強い建物を実現する工法としてすっかり定着しました。
おかげで、木造住宅の耐久性は非常に高くなり、かって『25年ローンの返済が終わる頃に建て替え』と言われたものが、50年、70年、100年住宅と言われるようになりました。

通気層工法を更に改良する開発が望まれる

通気層工法が提唱されるようになったのが昭和50年代後半です。まもなく40年が経過することになり、木造建築の断熱性能を高めながら、湿気にも強い建物を実現する工法としてすっかり定着しました。
おかげで、木造住宅の耐久性は非常に高くなり、かって『25年ローンの返済が終わる頃に建て替え』と言われたものが、50年、70年、100年住宅と言われるようになりました。

今後は、断熱材を不燃性の材料にするとか、通気層を構成する材料に難燃加工をするなど、通気層工法の利点を活かしながら、火災にも強い工法の開発が今後期待したいものです。

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