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契約違反があった場合に不動産売買契約を解除するには

不動産売買契約には6つの解約解除に関する取決めが書かれています。
手付解除、引渡し前の滅失・毀損による解除、契約違反による解除、反社会的勢力の排除による解除、融資未承認による解除、瑕疵担保責任による解除と6つのケースがあるわけですが、契約解除の要件が明確で分かりやすい解除条項もあれば、よく分からないものもあります。ここでは売買契約の解除について実務上のポイントを明確にしたいと思います。

売買契約解除の種類と契約解除の実際

売買契約に記載される契約解除には次のようなケースがあります。

手付解除
不動産売買契約は一般的には契約時に手付金の授受が行われます。手付金は解約手付であるため売主、買主双方に解除権が留保されています。
一定期間あるいは、相手方が債務の履行に着手するまでの間であれば、手付金の放棄あるいは手付金の倍返しにより契約を解除できます。
実務的には期限をきちんと決めておく方が分かりやすく、契約の日から○日後とか日付を明確にすることにより、履行の着手というような曖昧な判断をしなくて済むようになります。
ただし、売主が業者の場合は手付解除期限の設定はできません。
詳しくは手付解除期限の考え方
引渡し前の滅失・毀損による解除
引渡し前に天災地変により目的物が滅失・毀損した場合、修補が困難または過大な費用がかかる場合は、売主に対し、契約を解除する権利が与えられています。
契約違反による解除
契約書に記載されている互いの債務について、どちらかに債務不履行があった場合に契約を解除できるものですが、この条項が実務上はけっこう面倒なもので、このページの本題です。
反社会的勢力の排除による解除
いわゆる“暴力団排除条例”に基づいた契約解除条項です。
実際にこの条項により契約解除権を行使する場合は、弁護士に依頼するなど、法律専門家の支援が必要です。
融資未承認による解除
買主に与えられた解除権です。購入にあたって予定していた金融機関からの融資承認が期限までに下りなかった場合に、無条件で契約解除できます。
瑕疵担保責任による解除
引渡しを受けた不動産に瑕疵が見つかり、買主の購入目的が満たされない場合に与えられた契約解除権です。
実際には、瑕疵に該当するかどうかが争いとなるため、裁判によって決着をつけることが多くなります。

売買契約書に記載されている契約解除に関することは以上ですが、イザとなったときに、どのように対処したらよいか分からなくなるのが「契約違反による解除」です。

「契約違反による解除」の要件を確認

契約違反について記載している全宅連の契約書の様式には次のような文言が書かれています。

売主又は買主がこの契約に定める債務を履行しないとき、その相手方は、自己の債務の履行を提供し、かつ、相当の期間を定めて催告したうえ、この契約を解除することができる。

この文言は3つに分けることができます。

「売主又は買主がこの契約に定める債務を履行しないとき」

契約を解除できるのはいつか?
について定めています。

「その相手方は、自己の債務の履行を提供し、かつ、相当の期間を定めて催告したうえ」

・・・履行を提供し、・・・催告したうえ
と、解除するための条件について定めています。

「この契約を解除することができる」

解除することができる
と、解除の権利があると表現しています。

このように3つに分けて文章を見てみると、契約違反だから即解除とはならないことが分かります。

もう少し分かりやすい表現に変えてみるとこうなります。
AさんとBさんの契約で、Aさんが約束を守らないとき、Bさんは約束を守った上でAさんに「約束を守って下さい」と催促して、ある程度の期間が経っても約束を守らないときに、「契約を解除するよ」とBさんはAさんに請求ができる。

契約違反による解除のケーススタディ

契約違反で最も問題となるのが代金支払いと引渡しです。

買主の代金支払いと売主の引渡しは同時履行で行いますので

  • 代金を支払ったのに所有権移転をしない
  • 所有権を移転したのに代金を支払ってくれない

このようなことは現実には起きません。

買主が代金を支払わないときは、引渡しをしなければよいわけですし、所有権移転登記に必要な書類が揃っていないときは、代金の支払いをしなければよいわけです。

どちらかが履行しないときは、相手方も履行しない状態になりますので、契約解除の条項「売主又は買主がこの契約に定める債務を履行しないとき、その相手方は、自己の債務の履行を提供し、かつ、相当の期間を定めて催告したうえ、この契約を解除することができる。」の赤い下線の部分がされていないので、厳密にはこのまま契約解除の条項にしたがって解除することにはなりません。しかしこれでは中途半端な状態になってしまいますので、契約違反による解除条項を援用して「合意解除」を行うことになります。
合意解除といっても白紙解除するわけにはいきませんので、なんらかの金銭の授受を行うのが普通です。
一般的には「契約違反による解除」で決めていた違約金の支払いにより契約を解除します。

話し合いによって合意解除できない場合は、最終的には裁判での決着を図ることになります。
合意解除あるいは、お互いに妥協点を見出して契約を継続する見通しが立たないときは、弁護士の支援によって進めることが必要です。

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