スポンサーリンク

心理的瑕疵の告知義務についてどこまで調べて説明する必要があるのか

事故物件と言われる心理的瑕疵が存在する物件を、時々、不動産流通資料などで見ることがあります。
これまでの取引経験の中でも、1件そのような物件がありました。
ここでは、心理的瑕疵について媒介業者として、どこまで調査するべきなのかを考えてみたいと思います。

心理的瑕疵に該当する過去の事件などを調べるには

大島てる心理的瑕疵について調べる方法としてまず第一に挙げたいのが、事故物件サイト「大島てる」です。

サイト運営開始から14年、インデックスページ数49,000という膨大なデータ量を有する、日本屈指の事故物件検索サイト。
物件データは国内を超え世界各地の事故物件へと拡大を続けています。
今や知らない人はいないというぐらいの有名サイトですので、まずこのサイトでこれから媒介する物件を確認してみます。

未確認のまま客付けをして、購入希望者から指摘されるようでは媒介業者失格です。

次にチェックするのは売主さんからのヒアリングです。
契約時には“物件状況確認書”に記載する項目ですから、媒介スタート時点で事件や事故については必ず売主さんから聞き取りします。

次に行うのが物件周辺の取材です。
購入希望者の中には、自分で取材する人もいるくらいですから、媒介業者が何もしないというのはあまりにも怠慢です。
歩ける範囲で物件に関係する事件や事故などリサーチします。

心理的瑕疵に関する調査は何年前までした方がよいか

心理的瑕疵については明確な定義がありません。
何故なら買主や借主の心の中の問題であって、何か事件があった物件を購入してもまったく気にしない人もいますし、最近お年寄りが病気で亡くなったというだけで嫌う人もいます。

『事故があったのが10年前で、その後所有者が二人変わっているので、心理的瑕疵に当たらない』等の都市伝説的な論を言う人もいますが、法的になんらかの基準のようなものや、宅建業界のガイドラインのようなものもありません。

RETIO(不動産適正取引推進機構 )の判例を見ると現在19件の心理的瑕疵に関する裁判事例があります。

心理的瑕疵とされた事例

  • 土地・建物の取引で売主が7年前にあった強盗殺人事件を告知しなかった。
  • 土地の取引で近隣のビルに暴力団事務所があるとされたが、実際は暴力団と関係が深い興行事務所であった。買主の請求である契約解除は認めなかったが、売主の説明義務違反を指摘された。
  • 一棟売り賃貸マンションの取引で、死亡した一室の死因が「事件性のない自然死」と説明していたが、後に自殺であることが判明した。売主は宅建業者であった為、瑕疵担保責任による損害賠償請求は認められた。ただし、心理的瑕疵に関する不告知が不法行為とは認定されなかった。
  • 中古分譲マンションの取引で、賃借していた前入居者が相当な長期間、性風俗店として利用していたことを、買主に説明しなかった。
  • 賃貸アパートの売買取引で、売買契約後引渡し前に1室の入居者が自殺した。買主は「危険負担条項」の毀損にあたるとして認められた。
  • 土地の取引で、3年前に土地上にあった建物で火災があり焼死者が出、損害賠償額が一部認められた。
  • 賃貸用の土地建物の売買で、1年11ヶ月前に元所有者の家族が睡眠薬自殺を図り、2週間後に病院で亡くなったことが購入後に判明した。買主は4,400万円の損害賠償を求めたが、裁判所は瑕疵担保責任により売買代金の1%、220万円の賠償を命じた。尚、売主の説明義務違反は認めなかった。
  • 1年前に飛降り自殺のあった1棟売りマンションを転売目的で購入した宅建業者が、購入後1年経過して売却した。新たに購入した買主は、購入後に2年前に飛降り自殺があったことを知り、告知義務違反による損害賠償を求め認められた。
  • 土地の取引で、以前土地上にあった建物内で殺人事件があったことが後日判明し、売主の瑕疵担保責任が認められた。
  • 建物価額をゼロとした不動産売買で、建物の瑕疵担保責任を負担しない特約があったが、この物件で自殺があったことが判明し、瑕疵担保責任を負うことになった。
  • 農山村地帯の中古住宅の売買で、売主の前所有者が売買の7年前に附属建物で自殺していた。隠れた瑕疵が認められ契約解除になった。
  • 居住目的で購入した中古マンションで6年前に自殺があり、契約解除と損害賠償が認められた。

心理的瑕疵では無いとされた事例

  • 土地の取引で、17年前にあった建物で火災があり焼死者が出た。
  • 分譲マンションの取引で、建築工事中の事故で作業員が亡くなった。(他、同様の判例が2件あり)
  • 土地の取引で、以前あった共同住宅で発生した殺人事件に関し告知しなかったと、売主及び仲介業者が訴えられたが、殺人事件を知っていたとは認められず、仲介業者に調査義務を負わせる特段の事情は無いとされた。
  • 売買した不動産で過去に自殺があったとして瑕疵担保責任を争った裁判で、裁判所が自殺があったとはいえないとして、瑕疵担保責任が否定された。
  • 購入した中古住宅の建物を解体して、建売住宅を計画していた買主業者が、建物解体後、2年前に売主の家族が自殺をしていたことが分かり、契約解除と損害賠償を求めたが、瑕疵を認めず請求は棄却された。

各判例の詳細は売買に関する紛争 – (2)瑕疵・その他 – 心理瑕疵【RETIO判例検索結果】をご覧ください。

似たような事例でも、契約解除・損害賠償請求に至った件もあれば、瑕疵が認められないケースもあります。
まさにケースバイケースという感じがします。

○年経過しているから大丈夫とか、2代前だから大丈夫などの基準はありません。
かなり以前のことであっても、心理的瑕疵に該当するようなことが情報として入手した場合は、すべて説明する必要があると言えそうです。

コメント