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融資あっせんの有無とローン特約条項に係る媒介業者の責任

重要事項説明書に“融資のあっせん”について記載する項目があります。
“あっせん”とは「交渉や商売などで、間にはいって、両方の者がうまくゆくように取りはからうこと。また、物事を紹介し世話すること。」とされています。
一般的に不動産取引での融資のあっせんは、売主が販売している物件や物件シリーズの購入に際し、買主に対して他の金融機関の住宅ローンよりもメリットのある住宅ローン商品を、銀行と提携して提供するいわゆる“提携ローン”について、借入の申込等の事務手続きを宅建業者が取りはからうことを指しています。
特定の金融機関の住宅ローンではない商品を選択して、融資の申込や手続きの代行やアドバイスを媒介業者が行うことは、“融資のあっせん”には該当しないとされています。
しかしローン特約にもとづく契約解除に関してトラブルが起きた場合、媒介業者の責任を問われることがあるので注意が必要です。

売買契約におけるローン特約条項

買主が提携ローンを利用する場合はもちろん、提携ローンではない住宅ローン利用の場合でも「ローン特約条項」を付して契約することが一般的です。

ローン特約条項による契約解除の形式には3種類あります。

  • 解除条件型
    融資承認が得られないことを条件として契約が自動的に解除される
  • 期限付き解除条件型
    期限までに融資承認が得られないことを条件として契約が自動的に解除される
  • 解除権留保型
    融資承認が得られない場合、解除権を期限内に行使することによって契約が解除される

解除条件型の場合には自動解除されますが、解除権留保型の特約では買主が売主に対し、融資承認が期限までにおりないことによる契約解除を伝えなければなりません。

融資のあっせんをしない場合の媒介業者の役割

“融資のあっせんをしない”場合であっても、媒介業者の担当者が買主に代わって、事前審査から本審査申込までの一連の事務手続きを行うことが一般的です。

融資が通るか通らないかによって契約が成立するかしないかが決まるわけですから、媒介業者にとっても本審査が出来るだけ早く承認されることを願うのは言うまでもありません。

買主の立場からこのことを見ると、住宅ローンの事務手続きは媒介業者の役務では無いが、実際に行う行動は役務と同様のことを行っており、ローン特約の期限までに住宅ローンの審査を完了させるのは媒介業者の責任、と捉えることが考えられます。

ローン特約の解除期限日までにローン承認がおりない時

期限までに銀行から返事が来ない場合、媒介業者としては次の3つの確認をする必要があります。

  • 契約解除の意思表示をするか買主に確認する
  • 解除期限の延長を売主に申入れするかどうか買主に確認する
  • 解除期限の延長を承諾するか売主に確認する

解除期限の延長を互いに認める場合は、銀行からの返事が来るまで待ちます。
解除期限の延長をしない場合は、ただちに契約解除の手続きに進みます。

ローン特約によって契約解除する時

期限までにローン承認がおりず契約を解除する場合、基本的には無条件に解除できるわけですが、買主の責任が問われると白紙解除できない場合があります。

  • 買主の責任となる理由によってローンの審査に必要な書類の提出が遅れた
  • 買主の都合により事前審査の申告内容と本審査の申告内容に差が生まれた

このような場合は売主が白紙解除に応じないこともあり、手付解除あるいは契約違反による解除になってしまいます。

ローン特約の解除期限を過ぎてからの契約解除

解除権留保型の場合、解除期限が過ぎても自動的に契約は解除されません。
買主から売主への意思表示が必要です。

解除期限が経過してしまった原因に、媒介業者が絡んでいる場合があります。

売側、買側双方に媒介業者がおり、買主が買側業者に契約解除を伝えたのに拘らず、買側業者が売側業者に伝えなかったとか、ローン審査書類の提出遅れの原因が媒介業者だったといった場合です。

冒頭に書いたように、媒介業者が役務としてローン審査の手続き等を買主の代行として行った場合、買主はその行為を“役務”と捉えられる場合があります。
役務だとすると、契約解除の意思表示や審査書類の遅れなどは、重大な過失にもなります。

売主は白紙解除には応じませんので、買主は手付金没収あるいは違約金の支払いといった負担をしなければなりません。

ローン特約に係わる媒介業者の責任

ローン審査の書類不備などによって期限内にローン承認がおりなかった原因として、媒介業者の責任を問える場合、そして、解除期限を経過してから契約解除することになった原因として、媒介業者の責任を問える場合、どちらの場合も買主は媒介業者に損害賠償請求をすることも考えられます。

似たような事例で媒介業者の責任を認めた判例もあり、買主の自主ローンだから媒介業者には責任は無いなどと軽く考えることはできません。
また、解除期限内に契約解除になった場合でも、買主の信義則違反による契約違反であり、その原因が媒介業者の担当者にあったなどということもあります。

ローン特約に係わるトラブラが起きないよう、媒介業者にはローン特約が目的とする買主保護の意義を理解して、業務にあたることが大切です。

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