毎年3月末頃に新聞に掲載される公示地価。また下がったと嘆く人もいれば、もっと上がれと喜ぶ人もいます。
土地神話が過去のものになった今日ですが、土地の値段はやはり気になるものです。建物を購入するときも売却するときも、そして土地を購入するとき売却するとき、判断する基準になるのが土地の価格です。
土地の値段は3つあることをご存知ですか
公示地価のような客観的に土地の値段の基準になっているものには3種類あります。
- 公示地価
- 固定資産税評価額
- 相続税路線価
ここではこれら3種類の“公的な地価”について、その役割とか実際の土地の値段との関係などについて説明します。
高度成長によって生まれた公示地価制度
公示地価は地価公示法という法律によって算定される土地の値段です。
この法律は昭和44年(1969年)にできた法律で、次のような目的があります。
具体的には、公共事業用の土地を買収するときの土地代の算定や、国土利用計画法にもとづく土地取引の規制をする際の土地代算定の基準に使われます。
昭和30年代、日本は高度成長期に突入し土地の値段は大幅な上昇をつづけました。
地価の高騰は産業活動への悪影響もあり、政府は地価動向を監視し一定程度の抑制効果を狙い“地価公示法”を成立・施行しました。
地価公示法の施行4年後には効果が生まれ、地価はマイナスに転じ3年ほどは安定しましたが、その後再び上昇するなどしながらバブル期に急騰し、バブル崩壊によって一気に下落、低迷状態が現在まで続いているわけです。
公示地価を政府が発表するようになって50年近く経ち、不動産の売却に際しての査定価格算定の重要な指標になっています。
公示地価は国土交通省地価公示・都道府県地価調査で調べることができます。
市町村が決める固定資産税評価額
固定資産税評価額は市町村が徴収する、固定資産税や都市計画税の算定根拠になっている土地の値段です。
固定資産税はその年の1月1日現在所有している人に納税義務があり、評価額の算定は1月1日現在の価格になります。
固定資産税評価額のベースになる土地の値段が“公示地価”であり、公示地価はその年の1月1日現在の価格として算定されるので、固定資産税評価額も1月1日の評価額となります。
尚、固定資産税評価額は公示地価の70%が基準となっています。
土地を購入したり住宅を取得すると、固定資産税と都市計画税が課税されます。
これらの税額は次のような計算で課税されます。
- 更地の状態の宅地に課税される固定資産税
- 固定資産税評価額の1.4%が税金
- 専用住宅用地であって200㎡以下の宅地
- 固定資産税評価額の1/6が課税標準額となり、課税標準額の1.4%が税金
- 専用住宅用地であって200㎡を超える宅地
- 200㎡までは、固定資産税評価額の1/6が課税標準額となり、200㎡を超える部分(ただし家屋の面積の10倍まで)は固定資産税評価額の1/3が課税標準額となり、二つの課税標準額の合計に1.4%を掛けたのが税金
- 住宅が店舗併用住宅の固定資産税
- 店舗併用住宅などの場合は、住宅部分の割合によって課税標準額が変わります
都市計画税の課税標準額は固定資産課税標準額の2倍となり、税率は0.3%で計算します。
*固定資産評価額は3年ごとに見直しされ、前年度の課税額との差が大きく上昇した場合は負担調整措置があります。
相続税路線価は国税庁が決めている
3つの地価の最後が“相続税路線価”です。
不動産の相続や贈与があったときに、不動産を取得した人に課税するのが相続税や贈与税です。
税率は不動産の価格によって異なり、高くなればなるほど税率も高くなります。
税額は相続税路線価から計算した課税価格から基礎控除などを差引いた価格に税率を掛けて計算します。
路線価は“公示地価”の80%ぐらいになるように計算されます。
この地価も1月1日現在の価格になります。
路線価は路線価図・評価倍率表で調べることができます。
土地の査定価格の算出の仕方
不動産査定では、3つの地価と直近の売買事例から算出します。
直近とは概ね1年~2年ぐらいの期間で、査定する物件に出来るだけ近い場所での売買事例を数件抽出し、査定物件との比較検討を行いながら、売買事例の単価を調整して査定単価を求めます。
さらに査定時の市場動向を分析して“市場性による調整”を行います。
宅建業者が査定する土地価格は、売れる可能性のある最大値で出すものです。
時々、媒介契約締結だけを目的として、売れもしない高値の査定を出す媒介業者がいますので注意が必要です。
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