建売住宅を購入する時の注意点~物件選びから引渡しまで

建売住宅を契約する頃に注意すべきこと

物件探しがある程度目途がつき、購入しようとする物件が確定したら本格的に購入の準備をします。
ここでは

  • 売買代金の値引き
  • 必要な費用
  • 申込と住宅ローンの事前審査
  • 売買契約時の重要事項説明

以上の項目について注意点をまとめています。

値引きの交渉はいつやるか

建売住宅の購入する時に最も気になることが「売買価格は提示された金額通りか」ということ、つまり値引きは無いのだろうか?です。
値引きは黙っていても引いてはくれません、買主の方から要求するのですがそのタイミングは“購入申込”の時です。

申込の前に値引きを打診をするとか、申込んだ後に値引きを要求するのはタブーです。
購入申し込みの時に「○,○○○万円なら購入します」
*ただし、抽選になるような人気物件は値引きできませんので注意して下さい。

では、値引き要求の金額を決めるのですが、いくら下げられるかまったく見当がつかないと思います。
値引き金額は売主が決めることです。売主側の事情によって値引き金額が大きくなったり小さくなったりします。

そこで『建売住宅を購入する時の価格交渉と値引き幅』を参考に考えてみて下さい。

建売住宅を購入する時の価格交渉と値引き幅
どんな商品にも販売価格というものがあり、陰に隠れた値引き幅というものがあります。建売住宅・分譲住宅でも例外ではありません。建売住宅の価格構成と値引きの限度額を明らかにしてみようと思います。 建売住宅の価格はこうして決まる 一般に建売住宅とい...

売買代金以外にかかる費用をチェックしておこう

建売住宅を購入する為にかかる費用は売買代金以外にいわゆる“諸費用”とか“諸経費”という費用が必要です。

  1. 売買契約印紙代
  2. 所有権保存・移転登記費用
  3. 住宅ローンに係わる費用
    1. 保証料
    2. 抵当権設定費用
    3. 金銭消費貸借契約印紙代
    4. 金融機関手数料
  4. 不動産仲介手数料(媒介業者がいる場合)
  5. 土地の固定資産税清算金

不動産仲介手数料が必要なケースでは、トータルで200万円近い諸費用になります。
購入時にはこれらの諸費用がかかりますので資金計画に忘れずに入れておきましょう。

諸費用の具体的な例などについては『住宅を買ったり建てたりする時に必要な費用(諸経費)』を参照してください。

住宅を買ったり建てたりする時に必要な費用(諸経費)
家を建てる時の費用は=建築工事費(税込)+土地代+諸経費となります。 では諸経費とはいったいなんでしょうか? 登記関係諸経費 建物表示登記費用 住宅の工事が進み、外壁や内部の仕上げ工事がある程度出来ると、建物表示登記を行います。 本来は、完...

申込時に支払う申込金とは

購入申込をする時に申込証拠金の支払いを要求されることがあります。
申込みの意思が正式なものであることを証する目的で預けるお金です。

10万円とか20万円とか高くても30万円ぐらいがおおいようです。
抽選になるような人気物件では、必ずといっていいほど申込証拠金が必要です。

申込証拠金を支払うと後でキャンセルできないのではとか、キャンセルしても返金されないのでは不安になる方もおられるようですが、申込証拠金は売買契約における手付金とは異なります。

申込のキャンセルも出来ますし、お金が戻ってこないということもありません。
ただし、申込した後に売主業者が倒産したなど、お金が戻ってこないケースもありますので、注意しましょう。

『建売住宅を購入する為の申込証拠金は手付金とは異なる』

建売住宅を購入する為の申込証拠金は手付金とは異なる
賑わう建売住宅の販売会場では、申込金を支払って購入申込を受け付ける場面を目にします。人気の分譲地ではすごい競争率になります。さて、申込証拠金にはどんな法的根拠があるのでしょう? 建売住宅の購入時に支払う金銭の性格 人気の高い分譲地などでは、...

申込を売主側が受けたら購入の準備のためまずすることは、住宅ローンの事前審査です。
事前審査をせずにいきなり契約し、契約後に住宅ローンの審査を行ったら承認されず、手付金も戻らずトラブルになっている事例もあります。
契約前に事前審査を行い仮承認をもらってから契約に臨むのが鉄則です。

売買契約書・重要事項契約書で特に注意したい部分

売買契約時には宅地建物取引業法が定めている重要事項説明を行った上で、契約の締結をします。
重要事項の中には特に重要な契約解除に関する部分があります。

  • 手付解除期間を確認する
  • 融資不承認による解除条項を確認する

この2点です。

やむを得ず契約を解除することもあり得ます。
1週間、2週間、1ヶ月とその期間を確認することと、場合によっては売主側から解除されることもありますので、解除期間はしっかり覚えておきましょう。

最も重要なのは融資不承認による解除条項です。

融資不承認による解約解除とは、予定していた住宅ローンの融資が承認されなかった場合には、契約は解除され白紙に戻るのですが、白紙解除するための条件があります。

  • 融資を予定している金融機関名
  • 予定している住宅ローンの金額
  • 貸付条件となる返済年数、金利

これらを明記することが必要です。

万が一、住宅ローンの詳細を明記せずにおくと、売主の方から条件の悪い金融機関からの融資を要求され、白紙解除に応じず手付金の没収ということもあります。

詳しくは『不動産売買契約で行われる重要事項の説明とは』を参照してください。

不動産売買契約で行われる重要事項の説明とは
契約の前には重要事項説明を宅建取引主任者が行います。不動産取引など初めての方にとっては、分かったような分からないような説明になったりします。重要事項説明の大事なポイントを解説します。 重要事項説明は売買契約の前に行う 売買契約時には宅地建物...

建売住宅を購入した後に注意すべきこと

契約が終了し住宅ローンの本審査が承認され、いよいよ引渡しです。
新しい住まいに引越しするのは、すごくわくわくする楽しい大きな人生のイベントです。
引っ越した後も何ごともなく新しい生活を満喫したいのですが、時にはトラブルに遭遇することもあります。

自分流の生活スタイルを作る

注文住宅と違い建売住宅は生活スタイルに合致して作られてはいません。
逆に出来上がった住宅に合わせた生活をすることを強要されます。自分の思い通りの生活スタイルに出来ないことが、ストレスになることもあり、長く住み続けるマイホームとしては深刻な問題です。

そんなことを避けるには、購入前に行う物件の事前チェックが大切です。

建売住宅は「家に合わせて生活をする」がモットー
建売住宅と注文住宅の大きな違いは「家に合わせて生活する」か「生活に合わせた家をつくる」かです。この違いを理解しておかないと、購入してから後悔することになります。 モデルハウスや現地会場では生活をイメージしてみる 完成した建売住宅の購入は、現...

ストレスが溜まり生活に支障が出るようだったら、ミニリフォームをやってみましょう。
照明器具の位置、コンセントの位置、扉のドアストッパー、カーテンからブラインドへ、自分の住宅ですから自由にカスタマイズできます。
ホームセンターには素人でもプロ並みの修繕やリフォームができる、DIY用品が揃っています。

ミニリフォームをやり始めると止まらなくなるかもしれません。

もしも後悔することになったら

ストレスが溜まる住宅よりもっと深刻なのが、購入した住宅が欠陥住宅だった時です。
住宅に見られる欠陥にはいくつか種類があります。

  1. 主要構造部である基礎や骨組みの欠陥
  2. 屋根や外壁からの雨漏れ
  3. 上記以外の不具合で簡単に修補できないもの

①と②は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定めている10年間の瑕疵担保責任が適用される対象です。
③は10年保証が適用されない不具合ですがけっこう深刻なものがあります。

  • 地下水位が高く床下に水が溜まる
  • 配管の基礎貫通部の水密施工が悪く地下室に水が溜まる
  • 小屋裏換気口の設置が無いか不足により小屋裏部材が腐る
  • 防湿気密層の施工不良により壁内結露が発生する
  • 壁内気流止めが無く隙間相当面積が大きい
  • 材料の乾燥不良による床鳴り

このような不具合は住宅の品質性能に大きく影響しますが、補修をしようとすると大掛かりな工事となり、簡単には直せないものです。
欠陥が見つかり売主に修繕を要求しても応じてくれず、解決するまでに何年もかかったり、民事訴訟をおこさなければならないこともあります。

このような欠陥は注文住宅でも起こりうるものですが、工事監理者が不在となる建売住宅ではより起こりやすいものです。

つづきは『もしも買った建売住宅が欠陥住宅だったらどうしよう』をご覧ください。

もしも買った建売住宅が欠陥住宅だったらどうしよう
欠陥住宅は注文住宅ばかりでなく建売住宅にもある可能性があります。 工事管理の方法によっては、注文住宅よりもむしろ多いかもしれません。建売住宅を購入して欠陥があることが分かった場合にどうしたらよいのか、対処法をまとめてあります。 いずれの方法...

まとめ

このサイトのいくつかのカテゴリーには建売住宅に関連する記事がたくさんあります。
それらの記事へのリンクを紹介しながら建売住宅購入時の注意点についてまとめてみました。

建売住宅は完成品を購入するので、注文住宅を建てるより手軽に住宅を取得できる方法です。
その一方、建てている過程にユーザーが係わることができず、一方的に建売業者を信用するしかない構造があります。
物件を選ぶ際にはそのような点を頭に入れながら検討してほしいと思っています。
本文内で紹介できなかった記事もあります、そちらも興味があればご覧ください。

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