相見積りは同一の設計内容・同一仕様の工事内容を複数の工事業者が見積りすることを言いますが、リフォーム工事の場合、設計図書もなく建築主の要望だけを聞いて見積りすることが多く、厳密に云うと“相見積り”ではありません。相見積ではありませんが、複数の業者から見積りを取ることには大きなメリットがあります。
リフォーム業者によって答えが違うベストプラン
住宅を新築するときには建築士によって設計されるので、詳細な図面や材料・部材・設備なども仕様が決められるので、相見積りを取ると同じ条件で見積書ができあがり比較はすごくしやすいのですが、リフォーム工事ではリノベーションのような大がかりな工事以外は、建築士が関わって設計図面をまとめることはあまりありません。
- キッチンまわりをリフォームしたい
- 浴室や洗面室をリニューアルしたい
などの要望に、具体的な住設機器の提案を含めて、リフォーム業者が見積りをするのが一般的です。
リフォーム業者は住設機器や床材・内装ドアなどの内装部材など、取引業者の関係で仕入れを安くできるものもあれば、それほど安くならない場合もあります。つまり、得意な住設機器や部材もあれば、あまり得意ではないものもあります。
その為、同一仕様で相見積りをした場合、見積金額の一番低い業者=要望を満たしてくれる業者という図式は成り立ちません。
得意な部材や住設機器を使用してより高いレベルの提案をしてくれる業者もいます。
担当者によって満足度が変わる
リフォーム工事は新築と違い、ほとんどの作業は現場で行います。しかも生活している中で行われる為、工事期間中そして工事が終わってからの満足度は、工事を担当する人によって大きく変わるものです。
つまりいい担当者に出会えるか出会えないかが、リフォームを成功させる鍵でもあります。
いい担当者に出会うには多くの人に出会うことです。
信頼できそうな担当者を見つける為に見積りを依頼することが、相見積りを依頼する目的とも言えるでしょう。
多くの業者に接することでリフォーム業界のことが分かる
建設関係の仕事をしている人以外、工事業者に毎日のように接するようなことってありません。
リフォーム工事を検討中だからこそ、その業界の人と接するのですが、普段は接する機会はあまりありません。
業界には業界の習慣とか専門用語などがあり、工事に着手すると毎日、職人さんや工事担当者と顔を合わすことになります。
工事内容についての打ち合わせもありますし、休憩時間には世間話しをするのも、工事をスムースに進めるための潤滑油です。
これまであまり接することの少なかった建設業関係の人と、会う機会を多く持つのは一種のリハーサルです。
1社ではなく複数のリフォーム会社の担当者の話を聞くことは、業界の人間しか知らない深~い話を聞くことも出来ます。
孫子の兵法にもあるように、相手のことをよく知ることは、思い通りの結果を導くことにつながります。
リフォーム業界の独特の癖を理解しておきましょう!
予期しない追加工事について確認をする
リフォーム工事が完了してからトラブルになる重大なことがあります。
追加工事の請求です。
契約時の工事対象になっていなかった工事を行うことになり、工事が終わってから請求されるわけですが、追加工事には3種類あります。
- 発注者の希望によって追加になった工事
- 工事が進んでいく中でやむを得ず生まれる追加工事
- 契約時には業者が見落としていた工事
1番目の追加工事はよくあることで、工事が進んでいくと予算がある建築主の場合は、「ついでにここも」とか「グレードをアップしたい」とか、工事内容を変更し追加になった工事費も問題なく支払ってくれるのでトラブルにはなりません。
2番目の追加工事も時々あります。
壁を剥がしてみたら予想もしていなかったことですが、新築時の手抜き工事が見つかったとか、下地の劣化がはげしく下地の交換からやらないと仕上がり悪いなど、やむを得ない工事が追加になるケースです。
経験が豊富な業者ほど、このようなことをある程度予測して、契約時に説明してくれるものですが、経験の少ない業者ではそのようなことはできません。
同じようなことが3番目のケースでも言えます。
経験豊富な業者は「もしかしたらこんな工事が必要になるかも知れません」「その場合にはかかる工事費はこのぐらいです」などのように、あらかじめ予定を立てることが出来れば問題ないのですが、まったく予定もしてない追加工事が発生すると大きな問題になります。
追加工事については業者によって対応が変わるので、複数の業者から見積りを取ったら必ず、このような追加工事への対応についても確認することが大切です。
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