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中古住宅購入で見落としがちな注意点を一級建築士が徹底解説

新築住宅よりも中古住宅が注目されるようになり、リノベーション住宅はじめいろいろな中古住宅が販売されるようになりました。
なかには買ってはいけない中古住宅もあるのですが、長く住宅業界にかかわってきた一級建築士が、これまでの体験にもとづいて中古住宅購入の注意点をまとめました。

記事は時系列にしたがい、中古住宅を探し始めたころ~引渡しを受けるころまでを解説しています。
ぜひ参考になさってください。

希望にあった中古住宅の探し方

中古住宅が市場にでてくるまでのメカニズムを知ると、希望にあった中古住宅を見つけやすくなります。

中古住宅が市場にでてくるまでの流れ

中古住宅を売りたいひとは不動産会社に売却の媒介を依頼します。媒介には3種類の契約方式があり一般的に多いのは「専任媒介契約」です。

【媒介契約】の種類

  1. 専属専任媒介契約
  2. 専任媒介契約
  3. 一般媒介契約

一般媒介契約は複数の不動産会社に売却を依頼するので、ここでお話しするメカニズムは該当しないのですが、「専属専任」と「専任」の媒介契約にはあるルールがあります。

そのルールにより一定期間、物件は一般公開されずに特定の顧客にだけ物件情報が知らされ、優良な物件はその期間に売れてしまうことが多いものなのです。つまり “掘出しモノ” ほど誰も知らないうちに売れてしまい、熱心にウォッチしているひとには、そのような優良物件の情報は知らされることはありません。

一定期間とはなんですか?
レインズに登録するまでの期間なのです!

レインズとは不動産会社の情報ネットワークで、売主と媒介契約を締結すると以下のように物件情報を期間内に登録する義務があります。

  • 専属専任媒介契約は契約から5営業日以内にレインズに登録
  • 専任媒介契約は契約から7営業日以内にレインズに登録

期限が決まっているということは逆にいうと、期限までは登録しなくてもよいわけで、その期間を利用して自社で保有している購入見込み客に営業活動をしています。

この期間に自社の顧客に営業活動する理由は「両手手数料」が期待できるからなので!

両手手数料とは?

不動産会社は売買取引が成立すると、「仲介手数料」を受け取ります。一般には売主から媒介を依頼された業者は売主から手数料を、買主に物件を紹介して成約した業者は買主から手数料を受け取ります。

売主から媒介を依頼された業者が買主を見つけて成約すると、ほかに買主側に業者はいないので、売主と買主の両方から手数料を受け取ることができるのです。これを「両手手数料」といいます。

ひとつの取引で仲介手数料が2倍になるので、不動産会社はまず「両手手数料」になる可能性の高い行動を取るのは自然なことなのです。

レインズに登録する頃に市場に現れる

中古住宅の情報を一般のかたが目にするのは、不動産ポータルサイトや不動産会社のウェブサイトです。レインズに登録するまでの期間にウェブサイトへの物件登録を準備しますが、登録に費用がかかるサイトもあり、自社顧客への営業活動の結果をみながら判断します。

レインズに登録し自社顧客のなかに有望な見込み客がいないと判断すると、さまざまな媒体に物件情報を掲載し、一般のかたが情報を目にするようになるわけです。

物件探しを不動産会社に依頼する

優良物件情報を優先的に手に入れるには、不動産会社に依頼することが重要。

インターネットで物件を探すことはできます。しかし前述のように優良物件ほど表にはでてこず、知らぬ間に売れてしまうのが実態です。

一部のひとが不動産会社から優良物件の情報を取得できるのはなぜなのですか?

それは不動産会社から「購入意欲のある有力な客」と評価されているからです!

「購入意欲のある有力な客」と評価されるためには、ただ単に「物件がでたら教えてください! 」だけでは駄目で、できるだけ希望条件をこまかく伝えることと、コミュケーションが大切です。

  • ときどき事務所に顔をだす
  • 物件情報の連絡がきたら必ず返事をする
  • 勤務先や年収など個人情報に係ることもできるだけオープンにする

不動産会社が「両手手数料」を狙える期間や機会はけっして多くはありません。

「Aさん」に話してダメだったらから次は「Bさん」といった余裕はないので、いちばん確実に購入する可能性のあるひとに真っ先に情報を伝えるものです。

購入する可能性が高いと判断する理由には次のようなものがあります。

  1. 予算内に納まりそうだ
  2. 希望条件のほとんどを満たしている
  3. 住宅ローンの融資審査が通りやすい

せっかく情報を伝え購入する決断をしても、住宅ローンがとおらなければ何にもなりません。融資が大丈夫だと判断できる充分な材料がなければ「有力な客」とは評価されません。

優良物件情報を優先的に手に入れるには、「有力な客」と思ってもらえるような条件を整えながら、不動産会社に依頼することが重要なのです。

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内覧時のチェックポイント

よさげな物件がみつかり内覧することになりました。中古物件はチェックするポイントが新築物件と異なります。新築住宅ばかりこれまで検討してきて、中古に切り替えたかたがおこなうチェックの仕方は中古住宅にはまったく通用しません

新築物件の場合はキッチンやドレッサーなど最新グレードなの? とか、浴室乾燥機や食洗器はついてるの? など、仕様のチェックが必須ですが中古の場合はまったく異なります。

  • 給湯器はあと何年使えるかしら
  • キッチンを交換するといくらになるだろう
  • 床の傷はあまり気にならないね

とこのように劣化や損耗のチェックがまず優先事項です。そしてもっとも大切なチェックポイントが耐久性……つまり「あと何年もつのか? 」ですね。

耐久性をチェックする方法

中古住宅の耐久性を検討する場合、築年数よりも新築した年代に注目すべきです。耐久性にかかわる住宅の構造や施工品質は法律の規制や性能基準にもとづいており、新築時の年代によって品質はバラバラです。

「築30年以上はもう限界」などの評価はあてにできず、「いつ建った住宅か? 」のほうが重要なのです。

住宅の性能に大きな影響を与えた法改正が次のふたつです。

  1. 平成12年6月1日からの改正基準法
  2. 昭和56年6月1日からの改正基準法

昭和56年はかなり古い住宅なので、平成12年を境に住宅の評価を変えて検討する必要があるでしょう。

リフォーム済の住宅はチェックがむずかしい

内覧時には劣化や損耗の状態から今後の耐久性を予測するのですが、リフォーム済の住宅はすっかりキレイになっており、住宅設備まで一新されている物件が多くあります。

雨漏りや構造上の不具合などがあっても、表面上はまったくわかりません。小屋裏や床下の点検には限界があり、住宅の健康状態を診断するのはかなり難しいものです。

古いままの住宅の細部をよく点検し、必要なリフォーム計画を立ててから購入するほうが、間違いのない中古住宅の活用方法といえるでしょう。

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ホームインスペクションを頼むには

中古住宅には劣化や損耗があるのは当然です。状態によっては “建て替え” が必要なほど老朽化している物件もあります。物件探しをつづけてきて目の慣れたかたでも、中古住宅の健康状態を正確に把握することは大変むずかしいことです。

平成30年からスタートした制度「既存住宅状況調査」をご存知でしょうか?

どんな調査をするのですか?
中古住宅の劣化状態や不具合を点検調査するのです
調査するのは国土交通省に登録された専門技術者がおこないます

「インスペクション」といったり「ホームインスペクション」と呼ばれることもあります。

「既存住宅状況調査」について媒介業者が売主や買主に説明する義務があり、希望すると専門家をあっせんしてもらえるのです。

売主のかたは売却の媒介契約を締結するとき、買主が調査を依頼するには、物件を紹介されたときや購入希望を申し入れるときにおこないます。

【既存住宅状況調査】の概要
依頼する方法:物件を媒介する不動産会社に依頼するか自身で探す
依頼する時期:媒介依頼したとき、あるいは購入しようとする前
調査費用:数万円

インスペクションをしてくれる専門家を自身で探す場合は「日本建築士会連合会 既存住宅状況調査技術者の検索」で!

公益社団法人 日本建築士会連合会 / 日本建築士会連合会 既存住宅状況調査技術者の検索

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価格交渉の上手な方法

中古住宅の販売価格は売主の希望価格が設定されています。表示されている価格を下回る金額では絶対売ってくれないこともあれば、1割~2割くらいの値引きにも応じてくれる売主もいます。

営業担当
営業担当
中古住宅は定価のない商品なのです!

では販売価格はどのように決まっているのでしょうか?

  1. 不動産査定により決定した金額
  2. 使いみちが決まっている金額を満たせる金額

ほとんどの場合は上記のどちらかです。

査定による場合は媒介業者の考えかたも反映されており、値引き幅の余裕を含んでいるものです。一方 “資金使途” が決まっている場合は、値引きの余地があまりないケースもあるでしょう。

「値引きをしてくれるなら買ってもいいんだけど……」と、値引き要求をチラつかせても反応はありません。なぜなら “本当に購入する気があるかどうかわからない” からです。

値引きを要求したい時の最良の方法は「希望金額で購入申込」をすることです!

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住宅ローンの事前審査とは

購入しようと思える物件がみつかったら「購入申込書」に必要事項を記入して、媒介する不動産会社に提出します。値下交渉が必要な場合は不動産会社にお任せします。

売買価格の折り合いがついたら売買契約の準備に入りましょう。

まずやるべきことは…… “住宅ローンの事前審査” です。

金融機関によっては「仮審査」ともいいます。ネット銀行の住宅ローンですと、ものすごく簡単な事前審査がおこなわれ本審査で否認されるケースが多いようです。時間が取れれば窓口での審査が望ましいです。

事前審査ではなにを審査するのか?

住宅ローンの事前審査で審査する内容は次の2点です。

  1. 物件の担保評価
  2. 本人の信用力
物件の担保評価
購入する物件に対して「いくらまで貸せるか? 」を評価します。
土地と建物の現在価値を計算し金融機関で決めている割合により、借入申込額に対する認否を審査
本人の信用力
年収などから返済能力を判断し、借入申込額に対する認否を審査

事前審査が承認されると、保証会社を利用するタイプの住宅ローンの場合は「保証料」が決定します。

保証料が決まると諸費用がほぼ決定する

不動産の購入には売買代金以外に諸費用がかかります。

  • 契約印紙代
  • 不動産仲介手数料
  • 登記費用
  • ローン保証料
  • 融資手数料
  • 火災保険料

このようなものですが、金額が大きいわりに事前に概算で計算できないのが「ローン保証料」です。保証会社の審査の結果決まるのですが、職業によってある程度予測がつく場合もあれば、まったくわからない場合もあります。

事前審査が承認されるとはっきりしますので、諸費用を含めた全体予算と資金計画を正式に決めることができます。

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中古住宅のリフォーム計画

中古住宅には2種類あり、リフォームの必要な物件と必要のない物件があります。リフォームの必要がない物件は築浅の物件かリフォーム済の物件ですが、リフォーム済の物件はかなり慎重に検討をしたいのですが、その理由は後段で述べたいと思います。

リフォームの必要な物件は購入前にリフォーム計画を立て、予算に組入れて住宅ローンで資金捻出するのが賢い方法です。

金融機関によりますが、リフォーム費用を金利の安い住宅ローンに組み込むと、返済額負担が少なくなりリフォーム工事の内容を充実させることが可能です。

住宅ローンとは別建てのリフォームローンは、金利が高くなり返済年数も短くなるので金融機関の選択ポイントになります。

ホームインスペクションについて前述しましたが、専門家に点検してもらうとリフォームすべきポイントが明確になり、無駄のない計画を立てることができます。リフォームのポイントは “耐久性を高める” 方法が最優先です。

住宅設備に関心がいきがちですが、耐久性が高いからこそグレードの高い設備や、最新仕様が活きてきます。

リフォーム済の物件はどうなのでしょう?

リフォームの内容……特に構造体など隠れてみえない部分の修繕や補修が、どの程度おこなわれたのか判断できません!

工事前にインスペクションをおこない、リフォーム計画をしっかり立てたうえで、おこなったリフォームであり。工事途中の記録が残されていて、客観的にリフォーム工事の適正さが判断できる場合は別ですが、そうでない場合はどんなに新築同様になっていても購入すべき物件ではありません

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売買契約と重要事項の説明

売買契約前には物件についての詳しい説明を聞きます。宅地建物取引業法で定められた「重要事項説明」です。

  • 購入する物件についての正しい情報(所在地や面積など)
  • 物件が建つ土地に対する法律上の規制
  • 電力・上下水・ガスなどのインフラ整備状況
  • 「既存住宅状況調査」をおこなった場合の結果説明
  • 取引条件に関すること
  • 融資利用に関すること
  • その他売買契約書に記載される特約事項について

以上のような内容ですが “住宅の性能” についての説明はありません。中古住宅なので「劣化や損耗」のあることが前提だからです。

既存住宅瑕疵保険制度について

新築住宅は “10年保証” が義務づけされています。同じように中古住宅にも保証制度があると、購入するかたにとっては安心です。

一定の検査をおこない基準を満たした中古住宅を「5年保証」する保険が「既存住宅瑕疵保険」です。

義務ではありませんので、売主か買主が申込むことにより利用できる保険です。保険のタイプには2種類あります。

  • 売主と買主が個人の場合
  • 買主が個人で売主が宅建業者の場合

保険料は申込むひとが負担しますが、売主が宅建業者の場合は売主が申込します。売主・買主が個人の場合はどちらでも申し込むことができます。

保険が適用されるには対象の物件を点検調査し、基準を満たしていない場合は、必要な補修工事をしなければなりません。

営業担当
営業担当

既存住宅瑕疵保険を利用したいときは媒介業者に相談してください

ローン特約条項を確認する

住宅ローンを利用して中古住宅を購入する場合、売買契約書の約定に「融資承認がおりない場合には契約を白紙解除できる」という条項が、あるかどうかを確認することが大切です。

ローン特約条項」と業界では称していますが、この条項がないと住宅ローンが承認されない場合は、手付金の没収や違約金の請求を受けることがあります

また「ローン特約条項」の記載があっても、契約書に以下の記載がないとローン特約条項が実質的に無効になってしまいます。

  1. 住宅ローンを申込む金融機関名
  2. 融資金額
  3. 金利と返済年数

手付金の保証と保全措置

売買契約時には売主に「手付金」を支払うのですが、引き渡しまでの間に万一売主に不測の事態が生じ、引き渡しを受けることができなくなった場合、手付金が戻ってこない恐れがあります。そのような事態に対処するため「手付金保全」が義務づけされています。

中古住宅の売買契約で手付金の保全が義務づけされるのは次のような場合です。

  • 売主が宅建業者の場合
  • 手付金額が1千万円を超えるか代金の10%超の場合

このほか売主が個人の場合や手付金保全が適用されない場合に、手付金を保証する制度もありますので、媒介業者に問い合わせをしてみてください。

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引渡しまでの準備

売買契約が終わると引き渡しの準備に入ります。具体的には住宅ローンの本申込です。

本申込には売買契約書と重要事項説明書の写しを提出する必要があります。そのほか必要書類を準備して本申込し審査には2週間程度はかかるようです。

団体信用生命保険に加入するための「告知書」も提出しますが、金融機関によって団信に加入できないために審査が否認されるケースもあります。

ほかにも事前審査時には明らかでなかった既存借入などがあり、本審査が否認されるケースもあります。このように本審査で否認されるケースがあるので、前述した「ローン特約条項」が必要なのです。

本審査が承認されると「金銭消費貸借契約」を締結し、融資の実行準備が本格的になります。
このときには借入する金利タイプや返済年数などを正式に選択します。

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まとめ

中古住宅を購入するときの注意点について、時系列にしたがって解説しました。各章の関連コンテンツを章末に列記しましたので参照してください。

中古住宅を探しているなかで疑問に思ったことや、契約前に不安に思ったけれど誰に相談してよいかわからないといったことがあったら、コメント投稿してくれるとアドバイスいたします。

最後に「絶対に買ってはいけない中古住宅」もお読みなることをお勧めします。

絶対に買ってはいけない中古住宅
リノベーション住宅を称する中古住宅には“買ってはいけない中古住宅”もあります。リノベーションには耐震診断が欠かせないケースが多く、耐震補強がされてない物件もあります。
希望の条件にピッタリの物件になかなか出会えないとき、未公開物件を探してみると見つかることが多いものです。
よい物件ほど表には出てきません、なぜなら、誰もがほしがる物件は売れてしまうのも早いもの。
希望を叶えるには、未公開物件を紹介してくれる不動産会社を見つけることが先決です。
希望の物件を紹介してくれる不動産会社を探してみよう!

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