住宅の構造耐力

建築基準法による規定

建築基準法では第20条に構造耐力に関する規定があります。以下に条文を掲載します。
建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次に定める基準に適合するものでなければならない。
一  建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
二  次に掲げる建築物にあつては、前号に定めるもののほか、政令で定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。
イ 第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物
ロ イに掲げるもののほか、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超える建築物で、その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造としたもの

【解説】
構造耐力は政令つまり建築基準法施行令に従うこと。それ以外に構造計算が必要となるのが「第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物」です。一般の木造2階建ての住宅は、第六条第一項第四号ですので、構造計算はしません。

木造住宅の構造耐力

柱の小径柱の小径とは柱の太さです。柱の太さは柱の長さによって決まります。一般的には柱の長さの1/30です。柱の長さは2.7メートルが普通ですので、270センチ÷30=9センチ以上となります。
はり等の横臥材
横臥材とは柱と直角になる、つまり水平方向の材料のことです。具体的な名称としては、土台・胴差・梁・桁といったものです。
横臥材に関しては次のような規定があります。
はり、けたその他の横架材には、その中央部附近の下側に耐力上支障のある欠込みをしてはならない。

【解説】
横臥材に関しては、この規定しかありません。床の振動や・たわみの原因となる床梁の断面寸法については一切の規定がありません。

筋かい
スジカイと読みます。地震の時や強風の時に、横から加わる力に対して抵抗する部材です。引張力を負担する場合は、1.5センチ以上の厚みで巾が9センチ以上の木材か、直径9ミリ以上の鉄筋を使用します。
圧縮力を負担する場合は、厚さ3センチ以上巾9センチ以上の木材を使用するよう規定されています。
しかし最近は、筋かいではなく構造用合板を外側に貼って水平力を負担する面状耐力壁を採用する場合が多くなっています。
筋かいの端部は、柱と横臥材の仕口に接近して、ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない、と規定されていますが、釘だけの緊結ではほとんど効果がありません。

構造耐力上必要な軸組等
上記の筋かいや面状耐力壁の配置の仕方について規定がされています。
地震力と風に対して抵抗できるだけの壁の量(長さ)と、バランスよく配置されるように細かな規定がされています。

木造住宅の場合の構造耐力に関する検討は、この構造耐力上必要な軸組等の検討がすべてです。
耐震診断はこの検討を行って、耐震性を診断します。

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